2005年7月
学会論文賞
日本沿岸域学会
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- タイトル
- 近世における九十九里浜の形成と変形
- 受賞区分
- 学会誌・学術雑誌による顕彰
- 受賞国・地域
- 日本
わが国各地の海岸は著しく侵食が進み,その結果としての人工化が進んできている.主な侵食要因としては,海岸への供給土砂量の減少,構造物による沿岸漂砂の阻止,防波堤の建設に伴う波浪場の変化に起因する海浜変形などがあり,それらの機構解明が主な研究テーマとなってきた.しかし近年の調査によれば,海浜背後の土地利用,とりわけ保安林等の造成に起因する砂浜の喪失という全く新たな問題が指摘され,従来とは異なった視点からの分析と評価が必要となった.本研究では,全長60kmに及ぶ九十九里浜を対象とし,地史や空中写真を用いて様々な時空間スケールごとに海浜形成過程を分析する手法を提案し,その有用性を明らかにした.研究の結果,九十九里浜の海浜形成要因と形成年代が特定されるとともに,保安林造成・地盤沈下・浚渫が新たな変形要因となったことが判明し,本手法の有用性が確認された.