共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

全てのリン酸化酵素を標的としたフォールディング中間体阻害の評価系構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H02856
体系的課題番号
JP19H02856
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

本研究では、このフォールディング中間体特異的阻害の概念を、ヒトゲノムにコードされる全518種類のタンパク質リン酸化酵素へと拡張し、リン酸化酵素フォールディング中間体に対して、化合物がどのような阻害プロファイルを示すかを網羅的に評価する実験系を構築する。
2020年度の研究では、(1)2019年度に課題として浮上したin vitro translation無細胞タンパク質発現系での自己リン酸化活性の低さを解決する方法として、リン酸化酵素のN末端にあるタグを導入する方法を発見した。令和3年度は、このタグ付与が無細胞タンパク質発現系でのリン酸化酵素の自己リン酸化活性の向上に対して、どのような分子メカニズムで、どの程度の汎用性をもって利用できるのかを研究する。これにより、当初の目的であった、全リン酸化酵素の無細胞タンパク質発現系による自己リン酸化の網羅的解析の実現を目指す。
また(2)2019年度から進めていたリン酸化酵素の活性ドメインに対するフォールディング中間体選択的阻害剤の作用を直接検出するシステムの構築をさらに進め、高い汎用性のあるシステムの構築に成功した。具体的には、市販品の精製リン酸化酵素タンパク質と選択的阻害剤を混合し、その溶液を瞬間的に加熱・冷却することで、選択的阻害剤が標的酵素に対して結合し、その活性を阻害することを明らかにした。これは、瞬間的な加熱により、フォールディングが部分的に解け、フォールディング中間体に類似した構造が出現したことを意味している。加熱・冷却条件や添加剤などをさらに検討した結果、現時点で少なくとも5種類のリン酸化酵素に対して適用可能なフォールディング中間体選択的阻害の評価系の構築に成功した。我々は、この技術を「温度ジャンプ」と命名した。本技術については2020年12月に特許を出願した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H02856
ID情報
  • 課題番号 : 19H02856
  • 体系的課題番号 : JP19H02856