2016年
100年生ヒノキ鱗状葉の通水性維持機構
日本森林学会大会発表データベース
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- 巻
- 127
- 号
- 0
- 開始ページ
- 316
- 終了ページ
- 316
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11519/jfsc.127.0_316
- 出版者・発行元
- 日本森林学会
高木の樹冠内では光・水分環境が大きく異なり、葉の形態変化が資源獲得に大きく影響する。本研究では、林業上重要なヒノキ樹冠内における鱗状葉の光・水分環境への生理的順化反応を明らかにすることを目的とした。調査対象木は比叡山延暦寺所有の100年生ヒノキ造林地に植栽されたヒノキ3個体である。樹冠最上部と最下部から採取した葉を用い、形態特性として葉面積、葉乾重、分岐数を、生理特性として最大光合成速度、萎れ点の水ポテンシャル、飽水時の浸透圧、細胞の体積弾性率、および水分通導度を測定した。明るい樹冠上部の葉は、樹冠下部より比葉重が高く、葉面積当たり分岐数が多く、最大光合成速度が高かった。また、樹冠上部の葉は樹冠下部より萎れ点の水ポテンシャルが低く、葉面積当たり含水量が多い傾向が見られた。さらに、樹冠上部の葉は樹冠下部より細胞の体積弾性率や飽水時の浸透圧が低かった。水分通導度は樹冠内で一定であった。これらのことから、ヒノキ樹冠上部は光資源が豊富で、葉は光資源の獲得に有利な形態である一方で水ストレスを受けているが、硬い細胞壁による吸水力の向上や水分通導度の維持によって水ストレスに順化していると考えられる。
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- ID情報
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- DOI : 10.11519/jfsc.127.0_316
- CiNii Articles ID : 130005167018