MISC

2011年11月

【精神発達遅滞・自閉症の分子医学】 既知の遺伝子異常による発達障害・精神遅滞の分子医学 ATR-X(X連鎖αサラセミア・精神遅滞)症候群の分子遺伝学 エピジェネティクスの破綻により発症するクロマチン病

医学のあゆみ
  • 和田 敬仁

239
6
開始ページ
645
終了ページ
652
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
医歯薬出版(株)

ART-X症候群は、その責任遺伝子ATRXがX染色体上に局在するX連鎖精神遅滞症候群のひとつである。男性に発症し、重度の精神遅滞、HbH病(αサラセミア)、外性器異常、、骨格異常、行動異常など多彩な症状を特徴とする。ATRX蛋白は、メチル基転移酵素と共通のADDドメインと、クロマチンリモデリングドメインの2つの機能的に重要な部位をもち、その構造からSNF2ファミリーに属するクロマチンリモデリング蛋白と考えられている。ATR-X症候群はATRX遺伝子変異によるATRX蛋白の機能低下がクロマチン構造が破綻を引き起こし、複数の遺伝子発現が異常をきたし発症すると考えられ、エピジェネティクスのメカニズム破綻により発症するクロマチン病と位置づけられる。ATRX蛋白はヘテロクロマチンの維持とともに、染色体内あるいは染色体間の相互作用を調節し、細胞機能維持に重要かつ多様な機能を有していると考えられる。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0039-2359
  • 医中誌Web ID : 2011355180

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