2019年4月 - 2022年3月
アモルファス由来ファンデルワールス層状物質の結晶化機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
2019年度は、MoTe2薄膜のスパッタ成膜に先立ち、類似の層状テルライドであるSb2Te3やBi2Te3について、ターゲット組成と実際の薄膜組成の関係を調査した。その結果、使用した合金ターゲットと薄膜において組成が異なることが明らかになった。類似の現象が予測されたため、MoTe2合金ターゲットのみを用いた場合の組成を評価した結果、Moが不足した組成になることがわかった。そこで、Moの純金属元素との同時成膜によって、組成を制御した成膜を行なった。作製したMoTe2薄膜について、X線回折法やラマン分光装置、X線吸収法などにより評価し、現在は結果をまとめ、論文作成中である。
コヒーレントフォノン測定の予備実験を兼ねて、薄膜ではなく、MoTe2の単結晶のフレークを用いた実験を行なった。測定に用いたMoTe2単結晶は1T’相という高温安定相である。ポンプ-プローブ型の時間分解反射率測定を行なった結果、得られたスペクトルは1T’相のラマン分光で得られるスペクトルと概ね一致したが、低周波数領域に、1T’とは異なる低温安定相のTd相由来と考えられるピークも観察された。これは、光誘起によってMoTe2結晶の対称性が変調できることを示唆するものであった。現在、薄膜試料において、上記の1T’に加え、2H結晶相、およびアモルファス相を作製し、測定を行う準備をしているところであり、薄膜における相の変化と、コヒーレントフォノンの関係について明らかにしていく計画である。
第一原理計算を用いて、コンピュータ上でMoTe2を融解、急冷し原子配置がランダムなアモルファスモデルを作成し、その後融点以下の温度で加熱することで結晶化プロセスの再現を行なっている。今後、作成したアモルファスモデルの実験との比較や、アモルファスから結晶化する際の相変化挙動について詳細に調査していく。
コヒーレントフォノン測定の予備実験を兼ねて、薄膜ではなく、MoTe2の単結晶のフレークを用いた実験を行なった。測定に用いたMoTe2単結晶は1T’相という高温安定相である。ポンプ-プローブ型の時間分解反射率測定を行なった結果、得られたスペクトルは1T’相のラマン分光で得られるスペクトルと概ね一致したが、低周波数領域に、1T’とは異なる低温安定相のTd相由来と考えられるピークも観察された。これは、光誘起によってMoTe2結晶の対称性が変調できることを示唆するものであった。現在、薄膜試料において、上記の1T’に加え、2H結晶相、およびアモルファス相を作製し、測定を行う準備をしているところであり、薄膜における相の変化と、コヒーレントフォノンの関係について明らかにしていく計画である。
第一原理計算を用いて、コンピュータ上でMoTe2を融解、急冷し原子配置がランダムなアモルファスモデルを作成し、その後融点以下の温度で加熱することで結晶化プロセスの再現を行なっている。今後、作成したアモルファスモデルの実験との比較や、アモルファスから結晶化する際の相変化挙動について詳細に調査していく。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H02619
- 体系的課題番号 : JP19H02619