共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

植物病原菌の生体制御破壊型非殺菌性農薬の開発に向けた物質の同定及び作用機構解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K05769
体系的課題番号
JP19K05769
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

沖縄微生物ライブラリーに保存されているStreptomyces erythrochromogenesと高い相同性を示す3-45菌株は、特殊な培養法により、細胞内にイネいもち病菌の付着器の異常な拡大の誘導及び付着器のメラニン化を抑制する物質を生産し、イネ植物体上でもイネいもち病菌の発病を抑制する。今回、同様の活性は、Streptomyces levisと高い相同性を示す4-27菌株でも確認された。
本研究の目的の1つである作用機構を明らかにするために、3-45菌体抽出液を拡大した付着器を電子顕微鏡により、観察した。その結果、付着器内で液胞の拡大と考えられる現象が確認され、付着器内での液胞の拡大が、付着器の異常拡大に関係している可能性が示唆された。また、付着器形成に関連する遺伝子の網羅的な発現解析のために、mRNAの抽出条件を検討し、発現解析に用いるサンプルの条件検討を終えた。
また、もう1つの目的である3-45菌株の菌体抽出液に含まれる活性物質の構造解析を行うために、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて、活性物質の分画を行った。その結果、単一の画分に活性物質を検出することができた。
さらに、3-45菌株及び4-27菌株の菌体抽出液の他の植物病原糸状菌に対する影響を調査した。その結果、イネごま葉枯病菌、キュウリ褐斑病菌及びキュウリ炭疽病菌の発芽管の先を球状に膨潤させるだけでなく、イネ及びキュウリでの植物体への感染を抑制した。これらの結果により、3-45菌株及び4-27菌株の菌体抽出液中の物質が、イネいもち病菌だけでなく、複数の植物病原糸状菌の発芽先端部を球状に膨潤させ、植物体上での感染も抑制できることを明らかにできた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K05769
ID情報
  • 課題番号 : 19K05769
  • 体系的課題番号 : JP19K05769