2016年5月 - 2021年3月
簡易・高速プロセスによるソフト電池の創製と、構造変化の可逆化による容量革新
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
野田は、従来材料の黒鉛とLCOを用いた全電池で多種類のCNTを比較検討した。複合膜の自立性と導電性の点で長く、副反応を抑える点で比表面積が大きすぎない数層CNTが適することを見出した。Si-CNT高容量負極では、負極/正極容量比を高く設定しLiを多く含む状態を保つと、Siの体積変化を抑えて安定動作できることを見出した。金属Liでは50 μmと薄いLi箔を用いてLi-Cu-CNTスポンジ負極を開発、セル基準での高容量密度を可能とした。S-CNT高容量正極は電解液量を削減すると動作しなくなる。多硫化リチウム-CNTスポンジ正極を開発、電解液量を削減しても高容量を示すことを確認、薄い金属Li負極と組み合わせた全電池にて電極質量基準で1000 Wh/kgの高エネルギー密度を実現した。門間は野田と共同で、充放電時のスポンジ電極の体積変化の測定を開始、測定系を改良中である。また、スポンジ電極として期待されるSi-O-C 電極およびSn-Ni負極の充放電時の体積変化を評価、論文報告した。獨古は、リチウム塩とジニトリル系溶媒からなる濃厚電解液でLi+がアニオンや溶媒よりも速く拡散するホッピング伝導機構を見出した。この電解液をリチウム硫黄電池へ適用、硫黄正極の反応中間体の溶出が抑制され、高いクーロン効率での充放電を実現した。高電流密度では充電時にLi金属負極上で電解液が徐々に還元分解することが課題である。山田は、前年度にSi系負極の高いサイクル可逆性を確認したフッ素化鎖状カーボネート溶媒を含む高濃度電解液に着目、その基礎物性及びSEI被膜の形態・組成を調査し、Si系電極上にsulfideを含む緻密な粒子状のSEI被膜が形成されることを明らかにした。また5 V級LiNi0.5Mn1.5O4正極の安定な充放電サイクルも確認、上記電解液が高い酸化安定性を有すことを見出した。
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- 課題番号 : 16H06368
- 体系的課題番号 : JP16H06368
この研究課題の成果一覧
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論文
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Carbon 167 596-600 2020年10月 査読有り最終著者責任著者
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Carbon 161 612-621 2020年 査読有り最終著者責任著者