39歳女性。幼少期からの左難聴を主訴に前医を受診し、純音聴力検査にて高度難聴を指摘され、精査目的で当科へ紹介となった。初診時、耳介や外耳道、鼓膜には異常は認めず、顔面神経機能も正常であったが、左耳は聾であった。側頭骨CTでは左内耳道の全長にわたる狭窄がみられ、小脳橋角部MRIでは右側は2本の神経を同定できたが、左側は1本しか同定できなかった。ABR(聴性脳幹反応)およびDPOAE(歪成分耳音響放射検査)、cVEMP(前庭誘発頸筋電位検査)では左反応(-)、温度眼振検査では左側高度半規管麻痺が認められた。以上より、感音難聴と前庭機能低下を伴う一側性狭小内耳道と診断された。初診から20ヵ月経過した時点で、対側の聴力を含め、変動、悪化は認められていない。