2021年1月
【聴覚検査のポイント-早期発見と適切な指導-】鼓膜正常で気骨導差のある聴力図の見方
ENTONI
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- 巻
- 号
- 253
- 開始ページ
- 11
- 終了ページ
- 15
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)全日本病院出版会
鼓膜正常で気骨導差がある場合、陰影聴取とマスキングを理解したうえで聴力検査が正確に行えているか、気導や骨導の閾値が有意であるか(正常範囲の気骨導差ではないか)を予め確認する。骨導閾値の低下がない気骨導差(伝音難聴)の場合は、耳硬化症、中耳奇形、先天性真珠腫などが主な鑑別疾患となり、mass curveやstiffness curveの聴力図から鑑別を進めていく。骨導閾値の低下と気骨導差がともにある(混合難聴)場合は、(1)感音難聴と伝音難聴をきたす複数の疾患が混在(加齢性難聴と耳硬化症の合併例など)、(2)伝音難聴をきたす疾患の影響が内耳にまで波及(錐体尖病変、先天性真珠腫など)、(3)中耳伝音系の障害で骨導閾値が上昇(見かけ上の混合性難聴)、(4)内耳や後迷路障害が原因で気骨導差が生じる(第三の内耳窓説で説明される前庭水管拡大症や上半規管裂隙症候群など)、などを鑑別していく必要がある。鑑別のためには、音叉、インピーダンスオージオメトリー、語音聴力検査、画像診断、耳音響放射検査、自記オージオメトリーなどを併用し、聴力図の結果が各症例の病態と一致しているか確認することが大切である。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1346-2067
- ISBN : 9784865195477
- 医中誌Web ID : 2021143633