MISC

2020年8月

クリニカルトピックス 翻訳伸長因子Eef1dの変異が引き起こすてんかん様発作とその発症メカニズムに関する研究

BIO Clinica
  • 貝塚 拓

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8
開始ページ
788
終了ページ
791
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)北隆館

翻訳伸長因子はタンパク質合成過程における翻訳伸長ステップで働く一連のタンパク質群のことである。筆者らは翻訳伸長因子の一つeEF1Bδの長鎖バリアントeEF1BδLの欠損マウスが音刺激に対して痙攣発作を呈することを発見した。興味深いことにeEF1BδLをコードするEEF1D遺伝子の変異が重度の知的障害者を有する家族で同定されている。知的障害ではてんかんを合併することが多く、上述の欠損マウスはEEF1D変異による病態モデルとして有用である。また翻訳伸長因子の他の構成因子をコードするEEF1A2、EEF1B2の変異もてんかんを併発する知的障害者で同定されており、発達過程におけるこれら翻訳伸長因子群の重要性が示唆される。筆者らはeEF1BδLの生理機能を解明するとともに、欠損マウスで生じた病態の発症メカニズムを明らかにすることでてんかんを含む神経発達障害の原因解明とその治療法開発に貢献したい。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0919-8237
  • 医中誌Web ID : 2020327569

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