共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

マタニティベルトによる自動車乗員傷害予防効果の医学・工学的検証

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K10683
体系的課題番号
JP19K10683
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

自動車に乗車する際に3点式シートベルトを正しく着用することは法律で義務付けられている。しかし、妊娠時にはシートベルトを正しく着用しない女性が散見される。中にはマタニティベルトと呼ばれる装置を取り付けることによって、ラップベルトを大腿部に着用していることがあり、安全性が担保されないことがある。マタニティベルトの効果を科学的に検証するために、まずは妊婦におけるシートベルト着用の実態を調査し、マタニティベルトを必要とする背景を併せて検討した。滋賀県内の産婦人科医療施設において、妊婦を対象にシートベルト着用状況の実態調査を行った。そして、着用感や法律の内容を理解しているかなどについても併せて調査した。本検討は滋賀医科大学倫理委員会の許諾を得て行われた。1000人に調査を行い、774人から回答を得られた。自動車を運転する妊婦680人のうち、97.7%は常にシートベルトを着用していた。着用していた妊婦の中で、正しい着用法を実践していたのは86.9%であり、13.1%は誤った方法で着用していた。誤った着用法として、ラップベルトが突出した腹部上にかかっていたのが最も多く、ラップベルトが大腿部にかかっていた、肩ベルトが突出した腹部上にかかっていた、という状況が続いた。正しくベルトを着用していた群と、正しくない着用群に大別し、その背景因子を比較し、正しくシートベルトを着用することに影響を及ぼす因子を調べたところ、妊娠週数(オッズ比1.06)及び妊娠中に正しい着用法についての情報を得ていること(オッズ比2.25)が独立した因子であった。妊婦がシートベルトを正しく着用しないことやマタニティベルトを使用する背景には、現在のシートベルトを着用することによる不快感などがあると考えられる。正しく着用しないことへの危険性を科学的に明らかにし、教育を充実させること、快適性向上に向けたシートベルトの改良等を検討することが重要と考えた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K10683
ID情報
  • 課題番号 : 19K10683
  • 体系的課題番号 : JP19K10683