2018年8月
動作の変動性を指標とした自閉症スペクトラム障害児の運動発達の様相:多重時間スケールにもとづく縦断的検討
発達心理学研究
- ,
- 巻
- 29
- 号
- 4
- 開始ページ
- 243
- 終了ページ
- 252
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11201/jjdp.29.243
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本発達心理学会
<p>本研究では,ダイナミック・システムズ・アプローチにおける多重時間スケールの議論のもと,1名の自閉症スペクトラム障害(ASD)児の跳躍動作を縦断的に分析し,様々な課題や環境の中でどのように動作の変動が生じているのかを明らかにすることを目的とした。1年1ヵ月の期間で合計129回の跳躍動作を確認することができ,それらの動作は大小の変動を繰り返していることが示された。動作の変動は,安定した状態と不安定な状態を行き来する様子を表しており,特に不安定な状態は,安定した新たな状態への探索的プロセスとして運動発達上重要な局面であると捉えられる。そして,それらの動作の変動が生じる背景には,課題に対する適応の仕方が鍵を握る要因であり,とりわけASDの認知特性から,課題に対する注意の向け方が関係していると示唆された。最後に,動作の変動の様相をアトラクター・ランドスケープとして図示し,多様な発達の軌跡を描く子どもを対象とした運動発達研究の今後の方向性について検討した。</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11201/jjdp.29.243
- ISSN : 0915-9029