共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

聖地・霊場の成立についての分野横断的比較研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H00741
体系的課題番号
JP18H00741
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

計画に列記した3つの課題について実績を述べる。
①神社に代表される聖地の立地特性と景観上の特徴に対する検討では、北陸道諸国の式内社の情報を集め、その立地についての検討をおこなった。とくに福井県美浜町の弥美神社について、考古学、文献史学、建築史学の各分野を横断して実地検討をおこない、社殿の脇に湧水があり、また中世には寺院の坊が連なる状況も把握でき、湧水を起点とする神社が発展する姿が明らかとなった。
②山林寺院などの霊場についての立地特性と景観上の特徴に対する検討では、①で扱った弥美神社の神宮寺があり、その近くの古代寺院である興道寺廃寺と周辺の寺院、高善庵遺跡も対象とした。この遺跡は興道寺廃寺に続く寺院とみられるが、平地の寺院が丘陵上に遷移していく典型例とすることができ、井戸をもつことも特徴として把握できた。さらに、昨年度より調査を実施している兵庫県神河町の「播磨犬寺」についても継続しておこない、その成果をまとめて年度末に報告書を作成した。同時に、類例を同じ播磨国内で探し、平地寺院が起点となり山寺が成立する過程を浮かび上がらせることができた。
③聖地・霊場の立地特性に対する比較研究では、昨年度の補足として、キリシタンの霊地である大阪府茨木市の竜王山の周辺に点在する聖地霊場の踏査をおこなった。国内での比較材料として取り上げた京都市東山区の三嶋神社については、その研究成果を報告する研究会を実施し、その成果を報告書にまとめることができた。大内氏の妙見信仰や秀吉期の都市改造などを経て、聖地が変遷し再生していく状況を明らかにすることができた。
東アジアでの比較では、中国の霊場についても集成を継続するとともに、朝鮮半島についての検討を開始した。朝鮮半島での事例を検討するため、慶州の仏国寺や石窟庵などを巡見し、いずれも水を得ることが立地上の重要な位置を占めており、日韓比較の可能性を確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H00741
ID情報
  • 課題番号 : 18H00741
  • 体系的課題番号 : JP18H00741

この研究課題の成果一覧

論文

  4

MISC

  5

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  1

学術貢献活動

  1
  • 企画立案・運営等, パネル司会・セッションチェア等
    慶北大学校大学人文力量強化事業団・慶慶北大学校考古人類学科・慶北大学校シルクロード調査研究センター・京都府立大学文学部 2019年8月20日

メディア報道

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