論文

査読有り
2018年12月

次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理の聞き書き(第1報)和歌山県の茶粥とご飯もの

大阪夕陽丘学園短期大学紀要
  • 青山佐喜子
  • ,
  • 川原﨑淑子
  • ,
  • 橘ゆかり
  • ,
  • 三浦加代子
  • ,
  • 川島明子
  • ,
  • 千賀靖子

61
開始ページ
51
終了ページ
62
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)

和歌山県で30年以上居住している60才以上で、1960年~1970年の家庭料理について述べることができ、現在も家庭の食事作りに携わっている38名の方に聞き取り調査を行った。平均年齢72.3±6.3才(60~86才)で、全員女性であった。聞き取り調査のうち、茶粥とご飯ものと茶類の部分を抜粋して和歌山県の8地域ごとにまとめた。和歌山県は耕地面積が少なく昔から不足する米を補う食事として茶粥やご飯ものが作られていた。8地域すべてに茶粥が出現しているが、調査対象者の55.3%が茶粥を食べており、朝食に食べる場合が多かった。和歌山県全域で茶粥は広まっているが、和歌山県北部と南部の一部の地域では茶粥を必ず食べるという人は少なかった。特に北部は紀の川流域の穀倉地帯で米も豊富な地域であることが影響していると思われた。現在でも茶粥は高齢者の日常食として残っている。ご飯ものは味の変化をつけるために地域の新鮮な食材を使い作られている。ご飯ものに使われる魚の種類は和歌山県内の地域的な特徴が異なり、紀北と紀南、沿岸地域と山間部では違っていた。また、ご飯ものの料理方法も地域ごとに異なっていた。

エクスポート
BibTeX RIS