講演・口頭発表等

2019年7月10日

否定を伴うwantの不定詞補文節におけるsomeoneのスコープ解釈について

青山英語英文学研究会 (Aoyama Linguistics and Literature: ALL)
  • 金子真

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
青山学院大学文学部英語英文学科
開催地
青山学院大学文学部

否定を伴うwantの不定詞補文節におけるsomeoneは、その否定より狭いスコープ解釈をとることがある。先行研究によると、こうした狭いスコープ解釈が可能であるのは、不定詞節の述語が、主節主語の指示対象のnon-responsible action、あるいはnon-intentional actionを表す場合である。本発表では、こうした分析に対する反例をいくつか提示した上で、不定詞節中のsomeと主節のnotのスコープ関係を決定するうえで、notとwantのスコープ関係も重要であり、後者はwantの二義性((i) a desire as a matter of psychological fact vs. (ii) the kind of desire accompanying intentional action)にも関わっているという仮説を提案する。具体的にはwantが(ii)の意味をを表すときは、notよりも広いスコープを取り、その場合someはnotより狭いスコープをとると論じる。そしてこうした一見ミステリアスなスコープ関係を説明するために、notが文中で最も高いスコープを取らない場合は、notは同一節中の不定代名詞より広いスコープをとることができるというある先行研究の分析を援用する。