論文

2014年4月

悪性末梢神経鞘腫瘍を発症した神経線維腫症1型症例における化学療法の効果と予後

日本レックリングハウゼン病学会雑誌
  • 生越 章
  • ,
  • 堀田 哲夫
  • ,
  • 川島 寛之
  • ,
  • 佐々木 太郎
  • ,
  • 山岸 哲郎
  • ,
  • 遠藤 直人
  • ,
  • 守田 哲郎
  • ,
  • 有泉 高志
  • ,
  • 畠野 宏史

5
1
開始ページ
64
終了ページ
68
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本レックリングハウゼン病学会

神経線維腫症1型(NF1)に発症した悪性末梢神経鞘腫瘍MPNSTは予後不良の疾患でしばしば全身性に転移を生じ、抗がん剤抵抗性であるといわれている。我々の施設において治療を行ったNF1に合併したMPNSTの23症例に対して診療録を利用した後ろ向き調査を行った。症例は男13例、女10例、治療開始年齢は15から81歳(平均38歳)、腫瘍径は2-25cm(平均13cm)、症状発生から治療開始までは1-144ヵ月(平均30ヵ月)であった。初回外科治療として広範切除がなされた10例には局所再発がなく、辺縁切除となった(前医を含む)9例のうち8例に局所再発がみられた。抗がん剤治療は13例に対して施行され、効果判定可能であった11例では最高効果時の評価で、部分寛解3例、不変1例、進行7例であった。不変以上の効果が得られたものはいずれも大量イホマイドを主体とするレジメンであったが、いずれも再増悪が生じた。最終転帰は腫瘍死14、持続的無病生存6、有病生存2、他因死1でカプランマイヤー法による累積5年生存率は35%であった。大量イホマイドを主体とする化学療法は至適投与量を維持できれば腫瘍の縮小効果が得られる場合があり、多発肺転移の一時的消失や大幅な縮小がみられる症例も存在する。しかし経過とともに抗がん剤不応性になり、転移巣の長期間コントロールを得ることは極めて困難である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 2185-5773
  • 医中誌Web ID : 2014244734

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