2017年4月 - 2021年3月
中国青海省大通県チベット族居住地域の漢語方言調査研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
2019年度は8月に2週間程度、中国青海省大通県東狭鎮出身の漢族男性のご協力のもと、当該方言の語彙・音韻・文法に関する実地調査を行った。やや古い統計ではあるが、2000年の調査では、東狭鎮は大通県内の郷・鎮において最も多くチベット族が居住している地である(5177人)。同鎮の漢族居民数は9987人とあり人口比はおよそ1:2、申請書に記載した「雑居村」に該当する。
語彙調査では約2000項目を収集した。青海省一帯の漢語方言では多音節語内での変調(tone sandhi)の振舞いが周辺諸方言に比して特異であることが多いため、それぞれの「字」の原調を知ることが重要である。この観点から、単音節語のデータを多く得られるように留意して作成した調査票を用い調査を行った。調査後の研究によって音声面の分析は一通り終了しており、子音音素24種、母音音素8種を抽出した。また声調に関しては、音節声調ではなく、語声調の性質をもっていることが明らかとなった。
文法調査では、例文約100を集めつつ、様々な追加の聞き取りや文法テストを行った。「離合詞」の用法を始めとするいくつかの点で、従来調査を行った大通県の他地域との違いが見出された。
実地調査関係以外では、2次資料を利用して、青海省海東市民和県甘溝郷の漢語方言について研究を行った。この方言は従来、モンゴル系言語「土族語」の影響によって変容した漢語変種と見做されてきたが、言語特徴から判断すると、チベット語からの影響も無視できないことを指摘した。また、今後の当該方言の研究進展に寄与し得る資料も作成した。
語彙調査では約2000項目を収集した。青海省一帯の漢語方言では多音節語内での変調(tone sandhi)の振舞いが周辺諸方言に比して特異であることが多いため、それぞれの「字」の原調を知ることが重要である。この観点から、単音節語のデータを多く得られるように留意して作成した調査票を用い調査を行った。調査後の研究によって音声面の分析は一通り終了しており、子音音素24種、母音音素8種を抽出した。また声調に関しては、音節声調ではなく、語声調の性質をもっていることが明らかとなった。
文法調査では、例文約100を集めつつ、様々な追加の聞き取りや文法テストを行った。「離合詞」の用法を始めとするいくつかの点で、従来調査を行った大通県の他地域との違いが見出された。
実地調査関係以外では、2次資料を利用して、青海省海東市民和県甘溝郷の漢語方言について研究を行った。この方言は従来、モンゴル系言語「土族語」の影響によって変容した漢語変種と見做されてきたが、言語特徴から判断すると、チベット語からの影響も無視できないことを指摘した。また、今後の当該方言の研究進展に寄与し得る資料も作成した。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K13452
- 体系的課題番号 : JP17K13452
この研究課題の成果一覧
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論文
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現代中国語研究 22 25-38 2020年10月 査読有り
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言語文化研究 39(2) 1-14 2020年3月
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ユーラシア諸言語の動態III -言語の多様性と類型と混成言語- (CSEL Vol. 21) 75-95 2019年12月 査読有り