2014年
ブナ天然林における林冠樹種の違いがブナ下層木の生残と成長に与える影響
日本森林学会大会発表データベース
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本研究は、岡山県北部のブナ林を対象として、19年間の長期観測データからブナ下層木の生残および成長とその上層の林冠木樹種との関係を明らかにすることを目的とした。先ず、ブナ下層木と林冠木の空間分布相関の解析より、ブナ下層木は、ホオノキ林冠木と同所的に分布し、ブナの林冠木とは排他的に分布するように変化することがわかった。ホオノキ林冠下に存在するブナ下層木は、ブナ林冠下に存在するブナ下層木よりも生残率が高く成長量が大きかった。そこで、ブナ林冠下とホオノキ林冠下で光環境の季節的変化を調べたところ、ホオノキ林冠下ではホオノキの開葉が遅いため、春先にはブナが開葉したあとでもギャップに相当する光量が維持されていること、開葉後であってもブナよりも下層に供給される光量が多いことが明らかになった。以上から、ホオノキ林冠下がブナ林冠下に比べて、下層木にとって光環境の面では有利であり、ホオノキが林冠層に混交することがブナの更新を促進することが示唆された。