2016年12月
台湾IC設計業における競争戦略と主要企業の盛衰
赤門マネジメント・レビュー
- 巻
- 15
- 号
- 12
- 開始ページ
- 569
- 終了ページ
- 646
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14955/amr.151201
- 出版者・発行元
- 特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
<p>本研究は、台湾のIC (半導体集積回路) 産業の中でも特に設計業 (ファブレス) に焦点をあて、その発展動向と基本的な競争戦略、および主要企業の盛衰とそれを左右する要因について分析する。まず、台湾ICファブレスの競争戦略の様々な構成要素、すなわち、垂直分業・ファブレス化と二番手戦略、およびそこから派生する (あるいは、それとセットになっている) 台湾企業の強み・特徴 (標準品志向、製品開発プロセスにおける顧客との密接な協調、トータル・ソリューション、選択と集中など) について踏み込んだ分析を行う。こうした競争戦略の各構成要素がどのように関わりどのような競争優位に繋がっているかを出来るだけ体系的に分かり易く示すために、楠木 (2010)『ストーリーとしての競争戦略』が提唱する競争戦略ストーリーを描き出す手法を採用する。また、台湾の特徴を浮き上がらせるために、近年凋落していると言われる日本半導体企業の戦略 (不全) ストーリーを提示し対比させる。分析の結果、台湾ファブレスの戦略ストーリーは、相対的に楠木の言う「筋の良いストーリー」のイメージに近く、他方、日本半導体企業のそれは、むしろ戦略不全に陥るストーリー展開の可能性が多く見られることを示す。次に、同じ台湾ファブレスでも企業ごとに戦略や成長性が異なっていることに鑑みて、台湾の主要ファブレス10社の事例分析を行う。上述の台湾ファブレス主要企業一般を念頭に置いた戦略ストーリーでは捉えきれない企業ごとの違いにも注目し、その盛衰を左右する要因を分析する。その結果、その時代ごとの主流である応用製品市場を上手く捉えられたかどうか、コア技術を技術シナジーを活かしながら複数の応用分野に巧く展開できたかどうか、単なる「me too」ではなく製品技術・マーケティングで独自の優位性を持っていたかどうか、などが成功要因として指摘される。</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14955/amr.151201
- CiNii Articles ID : 130005402180