講演・口頭発表等

2014年5月17日

3次元培養法を用いた栄養膜幹細胞からの胎盤様構造体構築

第55回 日本卵子学会
  • 小川英彦
  • ,
  • 上田真弓
  • ,
  • 河野友宏

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
開催地
神戸国際会議場

本研究では、3次元培養法を用いてTS細胞から胎盤様構造体構築を目指して、細胞凝集塊を構築しその特徴を明らかにすることとした。ハンギングドロップ法および超低接着性96ウェルプレートを用いて70 Cond F4H培養液またはTS培養液でTS細胞を5日間培養し、細胞凝集塊を形成させた。形成された細胞凝集塊を構成する細胞を把握するために、未分化細胞特異的遺伝子Cdx2、栄養膜巨細胞特異的発現遺伝子PL-1、海綿状栄養膜細胞特異的遺伝子Tpbpa、迷路層栄養膜細胞特異的遺伝子Gcm1の発現をRT-PCR法により調べた。さらに細胞凝集塊から凍結切片を作製し、HE染色後その構造を観察した。細胞凝集塊の形成率は、培養液により違いは認められなかったが、ハンギングドロップ法で約40%、超低接着性96ウェルプレートでは100%であった。そこで、以降の実験では細胞凝集塊の形成は超低接着性96ウェルプレートで行った。超低接着性96ウェルプレートで形成させた細胞凝集塊における遺伝子発現解析を行った結果、70 Cond F4H培養液またはTS培養液で形成させた細胞凝集塊のどちらもPL-1、Tpbpa、Cdx2の発現が認められた。また、Gcm1の発現もわずかに認められた。以上の結果から、形成された細胞凝集塊には、栄養膜巨細胞、海綿状栄養膜細胞、迷路層栄養膜細胞へ分化した細胞が含まれていると考えられた。さらに、Cdx2の発現が認められたことから、形成された細胞凝集塊には、未分化な細胞も存在する可能性が示唆された。