2000年 - 2001年
第三世代認知科学の哲学的基礎に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
1.J.J.ギブソンの生態学的知覚論、F.J.ヴァレラのEnaction理論はいずれも伝統的な実在論/観念論という存在論的な二項対立を超えた存在論、客観主義/主観主義という認識論的な二項対立を越えた認識論を要求しており、これらはメルロ=ポンティが自らに課した哲学的な問いと同型である。
2.それゆえ、メルロ=ポンティに依拠しつつギブソン、ヴァレラらの認知科学に哲学的な基礎を与えることができる一方で、メルロ=ポンティの存在論、認識論を解釈しなおす可能性も生じる。研究分担者河野はメルロ=ポンティとギブソンの存在論を「性向の実在論」として再定式化することを提案している。
3.また、研究分担者信原は心脳同一説への批判として、認知は脳、身体、環境からなるシステムによって担われていることを、コネクショニズムの立場から明らかにした。また研究代表者能川が分担して研究したEnaction理論の見地からすると、コネクショニズムを身体-環境というシステムの中に位置づけることにより、ギブソンやヴァレラらが主張する反表象主義の立場とコネクショニズムとを整合的に理解する可能性が開ける。後者については、今後さらに研究を継続する予定である。
4.研究分担者中村は「心の理論」論争がもたらした知見を認知意味論の解釈にとりいれることにより、認知意味論に欠けていた意味の間主観的生成という側面を記述することが可能になることを示した。また研究代表者能川は関連性理論をある種の「心の理諭」として捉えなおし、コミュニケーションを「表象」ではなく「行動」の観点から理解しなおす可能性を検討したが、これについては今後さらに研究を進める必要がある。
2.それゆえ、メルロ=ポンティに依拠しつつギブソン、ヴァレラらの認知科学に哲学的な基礎を与えることができる一方で、メルロ=ポンティの存在論、認識論を解釈しなおす可能性も生じる。研究分担者河野はメルロ=ポンティとギブソンの存在論を「性向の実在論」として再定式化することを提案している。
3.また、研究分担者信原は心脳同一説への批判として、認知は脳、身体、環境からなるシステムによって担われていることを、コネクショニズムの立場から明らかにした。また研究代表者能川が分担して研究したEnaction理論の見地からすると、コネクショニズムを身体-環境というシステムの中に位置づけることにより、ギブソンやヴァレラらが主張する反表象主義の立場とコネクショニズムとを整合的に理解する可能性が開ける。後者については、今後さらに研究を継続する予定である。
4.研究分担者中村は「心の理論」論争がもたらした知見を認知意味論の解釈にとりいれることにより、認知意味論に欠けていた意味の間主観的生成という側面を記述することが可能になることを示した。また研究代表者能川は関連性理論をある種の「心の理諭」として捉えなおし、コミュニケーションを「表象」ではなく「行動」の観点から理解しなおす可能性を検討したが、これについては今後さらに研究を進める必要がある。
- ID情報
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- 課題番号 : 12610005
- 体系的課題番号 : JP12610005