共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2006年

重粒子線によるDNA2本鎖切断に対する修復タンパク質の応答機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
16710040
体系的課題番号
JP16710040
配分額
(総額)
3,800,000円
(直接経費)
3,800,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

DNA2本鎖切断(DSB)修復機構の細胞周期依存性の解析
DNA2本鎖切断(DSB)の修復は、細胞周期と密接して行われる。相同組換え修復(Homologous recombination : HR)は姉妹染色分体を鋳型として修復するため、姉妹染色分体が存在するS/G2期のみで起こるが、非相同末端結合(Non-homologous end-joining : NHEJ)は、すべての細胞周期で起こる。HRにおいて重要なナイミーヘン症候群(NBS)の原因遺伝子産物Nbslを欠損したヒトNBS患者由来細胞を用いた検討から、重粒子線による重篤なDSBは、HRにより効率的に修復できない可能性を報告した。
重粒子線照射後の細胞周期分布の変化を解析するため、NBS細胞とNBS1 cDNAを導入したNBS細胞を、フローサイトメーターを用いて解析したところ、いずれもG2期からM期への進行が顕著に抑制された。この結果から、損傷が重篤なためにNBS1の有無にかかわらずHRによる修復ができず、細胞周期の進行が抑制されることが明らかとなった。
細胞周期と細胞生存率の関係を調べるために、G1/S期境界に同調したHeLa細胞を用い、コロニー形成法により生存率の変化を解析した。その結果、非同調の細胞に比べて高い致死効果が得られた。以上の結果から、G2期で細胞周期進行を抑制し、細胞死を積極的に誘導する過程が明らかになった。
次に、シグナル伝達機構を解明するため、細胞周期チェックポイント関連タンパク質Chk2のリン酸化を、ウェスタンブロット法により解析した結果、X線を照射した場合に比べて、リン酸化が顕著に抑制されていることを見出した。よって、NBS1依存的なリン酸化シグナル伝達機構が活性化せず、Chk2のリン酸化が抑制されるために、G2期からの進行が抑制されることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16710040
ID情報
  • 課題番号 : 16710040
  • 体系的課題番号 : JP16710040