2015年6月
「平成26年度警察庁委託調査研究報告書:てんかんにかかっている者と運転免許に関する調査研究」の解説と検討
てんかん研究
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- 巻
- 33
- 号
- 1
- 開始ページ
- 147
- 終了ページ
- 158
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.3805/jjes.33.147
- 出版者・発行元
- (一社)日本てんかん学会
警察庁は運転免許発行の可否に関する運用基準の改正の検討に資する本邦独自データの収集を目的として、平成26年度に日本てんかん学会の協力のもと、てんかん学会専門医とその患者を対象としててんかんと運転に関するアンケート調査を行った。回答率は医師30.2%、患者17.9%で、本人から回答が得られた患者408人が解析対象となった。運転免許保有者310人の平均運転時間は1週間あたり184分で、代替となる公共交通機関がある人ではより短かった。運転中のてんかん発作の経験者は330人中39人で、運転中の発作の誘因は、睡眠不足38.5%、過労20.5%、怠薬10.3%、薬剤調整7.7%であった。運転中の発作の22.7%は、治療の開始前に起こっていた。14人は運転中の発作が原因で事故を起こしており、運転中の発作が事故となる確率は31.0%で、人身事故に限ると5.6%であった。医師による過去10年間の発作状況の回答から、一定の無発作期間後の一定期間における発作再発率を算出すると、無発作1年間ではその後1年間に22.8%、無発作2年間ではその後1年間に15.7%であり、国外の先行研究とほぼ一致する値であった。また、これらの結果からてんかん患者の交通事故リスク比を計算すると、無発作期間6ヵ月、1年、2年で各々1.38、1.23、1.16であった。病気と関係しない交通事故リスク比は60歳以上で1.32、20歳代男性で1.70であり、運転免許に必要な無発作期間を2年から1年に短縮することによる影響は、病気と関係しない交通事故のリスクを考慮すればきわめて限られたものであると考えられた。一方、医師が運転免許を保有していないと認識していた患者の14.3%が免許を保有しており、医師が運転していないと認識していた患者の33.2%が3ヵ月に1回以上運転していた。このような齟齬は、てんかん発作抑制のための適切な診療を妨げる可能性があり、改善の余地がある。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.3805/jjes.33.147
- ISSN : 0912-0890
- 医中誌Web ID : P723130020