共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

血管内皮細胞の核酸受容体を介した糖尿病性血管障害の発症機序の解明と予防方法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K08584
体系的課題番号
JP19K08584
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

糖尿病の最大の合併症は血管病であり、その予防が糖尿病患者の予後改善に不可欠である。血管内皮機能障害は血管合併症の初期段階であり、可逆的であるために治療標的とされているが、現在の血糖降下を目的とする糖尿病治療では、その予防・治療効果は不十分である。
我々は、高血糖が引き起こす慢性炎症が血管内皮機能障害を発症させるメカニズムとして、自然免疫機構である核酸受容体を介した炎症に注目し研究を行っている。初年度は、主な核酸受容体であるToll 様受容体9(TLR9) やstimulator of IFN gene(STING)の欠損マウスにおいて、ストレプトゾトシン(STZ)によって糖尿病を誘導すると、アセチルコリンによって誘導される血管弛緩反応は、野生型マウスに比べて悪化しないことが分かった。この結果は、糖尿病で引き起こされる血管障害によって、遊離する核酸断片が、血管内皮細胞における核酸受容体を活性化して、炎症を惹起し、血管内皮機能障害を引き起こすことを示唆している。
第2年度は、高血糖で核酸受容体が活性化されるメカニズムを、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)やマウス大動脈リング標本を用いて、TLR9やSTINGのアゴニストや核酸断片によって炎症性物質等の発現が変化するかどうかを検討し、核酸受容体が、血管内皮細胞における炎症性物質の発現に関与することや、さらにその詳細なシグナル伝達系について検討を行い、糖尿病性血管内皮機能障害の発症を抑制するための標的になりうる因子を明らかにした。これまで、糖尿病性血管機能障害における核酸受容体の役割については報告されておらず、今回得られた結果は、糖尿病性血管機能障害の新規治療標的を示唆するものと期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K08584
ID情報
  • 課題番号 : 19K08584
  • 体系的課題番号 : JP19K08584