共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2018年3月

児童・青年期うつ病・双極性障害の発達精神病理学的診断法と包括的治療法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K10237
配分額
(総額)
4,940,000円
(直接経費)
3,800,000円
(間接経費)
1,140,000円

DSM-5で抑うつ障害群の中に新たに設けられた児童・青年期の病態である重篤気分調節症(DMDD)について自験例を対象としてその臨床的特徴を検討した。DSM-5におけるDMDDの臨床症状は、慢性で激しい持続的な易怒性である。激しい易怒性は2つの特徴的な症状として現れる。第1の特徴は頻回のかんしゃく発作である。通常は欲求不満に反応して起こり、頻回に(平均して週に3回以上)、1年以上の期間にわたる。第2はかんしゃく発作の間欠期の状態である。間欠期においても慢性的で持続的な易怒的または怒りの気分が、ほとんど1日中、ほとんど毎日存在するのである。
本研究では楡の会こどもクリニック(小児科発達障害クリニック)に通院中の患者の中から、DMDDの診断基準に該当する14例をとりあげて検討した。14症例の内訳は以下の通りであった。①男子13例、女子1例と男子優位であった。②年齢は平均7.9±2.2歳であった。③併存障害は、ASD12例、ADHD7例、うつ病2例、解離性障害2例、素行症(CD)1例であった。④治療は薬物療法が全例に行われ、リスパダール5例、アリピプラゾール2例、ストラテラ2例、クエチアピン2例、メチルフェニデート2例、カルバマゼピン1例であった。いずれも対症療法的に用いられていた。⑤精神療法的アプローチとして、7例において心理士による個別セラピーが行われ、4例において発達支援センターの個別セラピーが行われていた。⑥9例において不適切養育(暴力5例、暴言3例、DV目撃3例、ネグレクト4例)が見られた。3例が両親離婚し、2例別居、4例が片親と死別していた。⑦家族歴は親のうつ病が9例、同胞のADHDが1例、反応性愛着障害が1例であった。⑧14例の平均観察期間は2.7年であり、改善5例、軽度改善7例、不変2例であった。

ID情報
  • 課題番号 : 16K10237