含歯性嚢胞はWHO分類では歯原性ならびに顎顔面骨腫瘍の中の歯原性発育性嚢胞に分類され、上顎洞に発生することはまれである。今回われわれは、上顎洞含歯性嚢胞に対してendoscopic modified medial maxillectomy(EMMM)を施行した症例を経験したので報告する。症例は21歳の女性で、主訴は左鼻閉、頬部腫脹である。CTで左上顎洞に歯牙を伴う嚢胞性病変を認め、EMMMを施行して良好な視野のもと摘出術を施行した。術後、鼻腔形態は保たれて合併症を認めず、術後4年で再発を認めていない。上顎洞含歯性嚢胞は、鼻内内視鏡操作に熟練する耳鼻咽喉科医が積極的に関与すべき疾患のひとつであると思われた。(著者抄録)