論文

1991年2月

Henry James: “The Real Thing” -本物を隠蔽する役者達

『明治大学大学院紀要』文学篇,明治大学大学院
  • 稲垣伸一

第28集
開始ページ
311
終了ページ
324
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

“The Real Thing”では,主人公である画家がモデルに「本物であること」を求めて固執する姿が描かれている。そこでは“real”とは何を意味するかという問題が浮かび上がる。この問いは,科学の発達の影響で19世紀半ばから始まったと考えられる,現実に対する認識の変化を反映しており,その発達した科学の分野の一つが物理学の量子論である。本論では,日常的な視点では捉えきれないミクロの世界に対する認識と,“real”という言葉の語義の変化が通底して小説の中に刷り込まれていることを検討した。

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