共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2004年

高次元結合発振器系にみられるバースト振動の分岐解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
03J01800
体系的課題番号
JP03J01800
配分額
(総額)
1,800,000円
(直接経費)
1,800,000円

近年注目されている大脳皮質でみられるGABAergicな結合とGap Junction結合の共存下におけるバーストの同期・非同期現象、Spike Frequency Adaptationの有無による同期現象の違い等を分岐解析により明らかにする上で,簡素な数理モデルを用いた高次元結合系にみられるバースト振動について分岐解析を行うことを重要である.本年度では,まず簡素でかつ多様な発振特性を示しうる変形BVPモデルを構築し,分岐解析を行い,モデルが持つ分岐構造を完全に明らかにした.この結果から,所望の発火特性を持たせるためのパラメータ設計が容易になった.
次に,この単体モデルを用いたGap Junction結合系,Gap Junctionと抑制性シナプスによって相互結合される系について解析を行った.その結果,Gap Junction結合による同期を促進させる働きがあるのにも関わらずバースト振動をはじめ様々な同期現象が観測されることを分岐図を求めることにより明らかにした.また,単体モデルの興奮性の違いから同期モードが異なることが明らかになった.Gap Junctionと抑制性シナプスによって相互結合される系では,各結合様式の相互作用により,同相同期,逆相同期が存在し,また,周期倍分岐連鎖によってそれらの同期モードがカオス解へと進展することを示し,各現象と各結合の結合係数との関係を明らかにした.さらに,この結合系を大規模結合系へと拡張した.その結果,2個結合系時には,カオス解が観測される領域は非常に小さいものであるのにも関わらず,時間的にも空間的にもカオス的な現象が結合係数の変化に対してロバストに観測されることを明らかにした.また,各発振器は,完全に独立的カオス振動を示すのではなく,周囲のニューロンとの同期・非同期現象が時間・空間に対して不規則に繰り返していることを示した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-03J01800
ID情報
  • 課題番号 : 03J01800
  • 体系的課題番号 : JP03J01800