2018年6月 - 2020年3月
生殖細胞系列と体細胞系列の高次クロマチンドメインの違いを規定するメカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
本研究は生殖細胞系列と体細胞系列の高次クロマチンドメインの違いを規定する因子の同 定を目的とする。精巣内で幹細胞型の生殖細胞(精原細胞)は、体細胞型の増殖を経た後 に、その一部の集団がspontaneousに減数第一分裂へと進行する。とりわけ、減数第一分裂期で はおいては染色体構造が減数分裂仕様に劇的に変化を遂げることが明らかにされているが、基盤 となるクロマチンドメインの成り立ちについては不明な点が多い。インスレータータンパク質CTCFはクロマチンの境界領域を決定すること により、エンハンサーの効果を1つの独立したクロマチンドメイン内に制限するなど高次 クロマチン構造レベルから遺伝子発現を制御する因子として知られている。一方、CTCFの パラログBORISは精巣特異的に発現することが知られている。最近我々は、CTCFとBORIS/C TCF-Likeが精巣内で相互排他的な発現パターンを示すことを見出した。興味深いことに、 CTCFが体細胞系列で高発現しているのに対して、 BORIS/CTCFLは減数分裂に進行する直前 の分化型精原細胞→減数分裂初期の精母細胞で特異的にかつ一過的に発現する。したがっ て、減数分裂に先がけて核内ではCTCF→BORIS/CTCFLへの置き換えによってクロマチンド メインの構造変換が起きている可能性が示唆される。本研究では、CTCFとBORIS/CTCFLに 特異的に結合する因子の違いを明らかにすることにより、体細胞増殖から減数分裂への切 り替え遷移期における高次クロマチン構造のリモデリングの実態解明を目指す。さらに減数分裂型コヒーシンとBORIS/CTCFLにとの機能的強調について検討を行う。
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- 課題番号 : 18K19304
- 体系的課題番号 : JP18K19304
この研究課題の成果一覧
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論文
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PLOS Genetics 18(6) e1010241-e1010241 2022年6月1日 査読有り
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Sexual Development 1-11 2022年2月7日 査読有り招待有り筆頭著者責任著者
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Nature Communications 12(1) 3184-https://rdcu.be/clIJ9 2021年6月1日 査読有り責任著者
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PLOS Genetics 16(9) e1009048-e1009048 2020年9月15日 査読有り責任著者
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Dev. Cell 52(5) 429-445 2020年2月24日 査読有り筆頭著者責任著者
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Genes to Cells 24(1) 6-30 2019年1月 査読有り筆頭著者責任著者
MISC
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北隆館BIO Clinica 5月号 疾患ゲノム研究の最前線 36(5) 85-90 2021年4月12日 招待有り最終著者