MISC

2012年

ニホンザルにおける複合図形の分節化とカテゴリーの汎化

霊長類研究 Supplement
  • 飯島 淳彦
  • ,
  • 岩田 裕
  • ,
  • 畠野 雄也
  • ,
  • 藤澤 信義
  • ,
  • 長谷川 功

28
0
開始ページ
81
終了ページ
81
DOI
10.14907/primate.28.0_81
出版者・発行元
日本霊長類学会

目的<br>ニホンザルにおいて2要素の組み合わせからなる複合図形と物体との関係を学習させ,それに基づいて複合図形の分解ができるかを調査した.また,物体のカテゴリー化を要素図形による複合図形の組み立てタスクによって回答できるかについても調査した.<br><br>方法<br>2頭のニホンザル(<i>Macaca fuscata</i>)に6組の複合図形と物体との関係を学習させた(Paired Association Training:PA).複合図形は物体とは無関係の6つの要素図形の中の2つで構成した.PAを十分に学習したのち,物体をcueとして呈示し,choiceで複合図形そのものではなく要素図形を4つ呈示し,正しい2つを選択させるテストを行った(Articulation Test:AT).更に,6組の複合図形-物体に対して,物体と同一カテゴリーの図形を順次加え,一組に7種類の図形を用いてカテゴリーを形成し,そのカテゴリーが汎化するかを,probe test としてtrial unique刺激を用いてATで検証した.<br>結果<br>PAを十分に学習した後のATのfirst trialは,2頭の平均正答率が62.3%で,16.7%のchance levelに比べて有意に正答を示した.また,trial unique刺激を用いてカテゴリーの汎化力を調べた結果,Probe trial(p =3.2*10^-15, binominal test),Prototype trial(p =1.6*10^-14)でともにchance levelの16.7%を有意に上回る成績だった.<br>考察・結論ニホンザルにおいて,基本セットの学習を行えば,それをもとに要素図形から複合図形を構成できることが分かった.これはcueとして与えられた物体画像を見ることが,対応する複合図形を見なくてもそれを想起させ,そのイメージを基に複合図形を構成したと考えられる.カテゴリーの汎化と合わせて,個々には意味を持たない図形要素の組み合わせから,意味のある図形を作り出す能力がニホンザルに存在すると考えられる.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14907/primate.28.0_81
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005471391
ID情報
  • DOI : 10.14907/primate.28.0_81
  • CiNii Articles ID : 130005471391
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000347149746

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