共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

スギの水分生理特性における幼老相関の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)
  • 河合 慶恵
  • ,
  • 池田 武文
  • ,
  • 市榮 智明

課題番号
20K06132
体系的課題番号
JP20K06132
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本課題は、スギの水分生理特性における幼老相関を明らかにし、この特性を今後の林木育種で開発される優良個体の早期選抜指標として活用するための基盤情報を得ることを目的としている。2021年度は、愛媛県に設定された1箇所の壮齢なスギ産地試験林において毎木調査を実施したのち、成長錐および枝サンプルを採取した。採取した枝サンプルを用い、冬季の浸透調節機能(冬季乾燥耐性の指標)を評価した。なお本試験林と同一系統が共通植栽されている、兵庫県に設定された壮齢な産地試験林においても、同様の評価をこれまでに実施している。
本課題に先だって実施した幼苗の乾燥ストレス実験において、実験に供試したスギさし木苗を用いて冬季の浸透調節機能の測定を行った。なお幼苗の実験で用いたスギ精英樹15系統は、上述したスギ壮齢産地試験林に共通植栽されている。幼苗で得られたデータと二か所の産地試験林での測定結果を統合し解析した結果、兵庫県の試験林において冬季の浸透調節機能は幼苗と成木の異なる成長段階間であっても共通性がある(幼老相関がある)ことが認められた。しかし、愛媛県の試験林では有意な幼老相関が認められなかった。
また、上述したスギ精英樹と同じ15系統が共通して植栽されている43箇所の産地試験林において、これまでに調査された生存率データを前年度中に全て再精査した。本データはスギ系統の幼苗における生理・形態的特性と、成木における生存・成長との関連性を検証するために用いる予定であるが、この解析に先立ち、5年次から20年次の生存率データを用いて、試験林間での系統の順位変動の程度を解析した。生存率における偏差値に基づくクラスター分析の結果、15年次では瀬戸内・近畿地域に同じクラスター区分の検定林が集中する傾向を示し、この地域では系統の生存パターンが類似することが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K06132
ID情報
  • 課題番号 : 20K06132
  • 体系的課題番号 : JP20K06132