2011年11月
春期の岩手県ヒト生活圏における着衣ブタ屍の死後変化過程と入植昆虫種
法医学の実際と研究
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- 巻
- 54
- 号
- 54
- 開始ページ
- 59
- 終了ページ
- 63
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 法医学談話会
法昆虫学による死後経過時間推定において「昆虫の死体への入植」は最重要事項であるが、岩手県のように冬期に昆虫の活動がみられない地域では、昆虫の蚕食を受けた死体が春期に発見された場合、その昆虫の入植が前年の晩秋期か春期かの鑑別が困難なことがままある。このような事例において入植時期を正確に鑑別するためには、双翅目昆虫が死体への入植を始める時期を把握すること、および晩秋期と春期の死体昆虫相を比較し相違を明らかにすることが必要と考えられる。そこで著者等は、2010年4月13日から5月30日まで着衣ブタ屍をヒト生活圏屋外に留置し、腐敗分解過程と昆虫の入植を観察した。その結果、第一入植は留置12日後に観察され、入植種はフタオクロバエであった。このほかに4種の双翅目が観察・採集されたが、いずれも夏期や晩秋期にもみられる種であった。また、秋期にはほとんど活動のみられない鞘翅目の飛来や入植が観察されたものの、春期に発見された死体が前年の晩秋期を経たか否かを死体昆虫相から正確に鑑別することは困難であると考えられた。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0289-0755
- 医中誌Web ID : 2012244425
- J-Global ID : 201102222353658452