2017年
東北農研が育成した水稲品種における低温条件下の発芽性,伸長性,および出芽・苗立ち性
日本作物学会紀事
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- 巻
- 86
- 号
- 3
- 開始ページ
- 219‐228(J‐STAGE)
- 終了ページ
- 228
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1626/jcs.86.219
- 出版者・発行元
- 日本作物学会
<p>東北農研育成8品種を含む水稲18品種の低温発芽性,低温伸長性,および低温出芽・苗立ち性を評価した.発芽に要する日数 (発芽日数) は乾熱処理によって短縮されたことから,供試品種は春先の播種時期においても休眠性を有していると推定された.休眠性がほぼ消失した条件の低温発芽試験において,発芽日数には品種間差異が認められた.低温水中伸長試験においては,鞘葉の伸長性に品種間差異が認められた.催芽無の条件では,発芽日数が短い品種ほど,鞘葉の伸長が明らかに早く,催芽して,その程度を揃えた条件においてさえも,発芽日数と鞘葉長の間に有意な相関関係が認められる場合があった.湛水土中播種試験においては,発芽日数の短い品種は,鞘葉の出現に要する日数 (出芽日数) が短く,特に極低温条件下においては,出芽日数が短いほど,苗立ち率が高かった.以上の結果から,本研究の供試品種においては,発芽日数が短い品種ほど,苗立ち性が優れる傾向にあると推察された.供試品種の中では,「Arroz da Terra」,「Ta Hung Ku」,「ヒメノモチ」が,発芽日数が短く,出芽・苗立ち性が優れていた.東北農研育成品種に関しては,主食用品種の「萌えみのり」,「えみのあき」,「ちほみのり」,糯品種の「ときめきもち」は,休眠性がやや強いために,場合によっては出芽・苗立ちがやや遅れる危険性があること,および飼料用品種の「べこあおば」,「いわいだわら」,「べこげんき」は,発芽日数がやや長く,出芽・苗立ち性がやや劣ることを指摘した.</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.1626/jcs.86.219
- ISSN : 0011-1848
- J-Global ID : 201702257392011295
- CiNii Articles ID : 130005865485
- CiNii Books ID : AN00189888