論文

2014年8月5日

土壌抽出カドミウム濃度による野菜可食部カドミウム濃度の品目間差異の推定

日本土壌肥料學雜誌
  • 戸上 和樹
  • ,
  • 三浦 憲蔵

85
4
開始ページ
333
終了ページ
340
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.20710/dojo.85.4_333
出版者・発行元
一般社団法人日本土壌肥料学会

野菜の可食部Cd濃度の品目間差異は栽培土壌のCd濃度とpHの影響を除いて評価することが望ましい.そこで,現地と枠圃場における栽培試験で得られた野菜17品目の可食部Cd濃度のデータと栽培後土壌を収集し,土壌のCd濃度とpHに対する応答が異なる2つの土壌抽出法(0.1molL^<-1>HCl, 0.05molL^<-1>CaCl_2)による抽出Cd濃度と可食部Cd濃度の関係を示す回帰係数を用いて品目間差異の定量的な評価を試みた.また,栽培試験と全国実態調査の可食部Cd濃度の幾何平均値についても算出し,各方法の回帰係数および幾何平均値を正規化して互いに比較可能とした後,全国実態調査の品目間差異を基準として各方法の妥当性を評価した.栽培試験のデータから推定した品目間差異について,可食部Cd濃度による方法と比べて回帰係数による方法では全国実態調査との一致度が高かった.また,品目間差異に対する栽培土壌のCd濃度の影響は可食部Cd濃度による方法で大きかったが,回帰係数による方法では認められなかった.さらに,回帰係数による品目間差異は土壌pHの影響は示されなかった.一方,0.05molL^<-1>CaCl_2抽出法による品目間差異は,0.1molL^<-1>HCl抽出法より低吸収品目に対する適応性や分解能が優れることから,品目間差異の推定に適していると考えられた.0.05molL^<-1>CaCl_2抽出法の回帰係数により求めた品目間差異に基づき,品目間の回帰係数の比から品目転換による可食部Cd濃度の低減率を試算した.しかし,栽培試験で収集した各品目のデータは限定されるため,品目間差異および低減率については検証が必要である.

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DOI
https://doi.org/10.20710/dojo.85.4_333
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009909555
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00195767
ID情報
  • DOI : 10.20710/dojo.85.4_333
  • ISSN : 0029-0610
  • CiNii Articles ID : 110009909555
  • CiNii Books ID : AN00195767
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000003060461

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