基本情報

所属
熊本大学 生命資源研究・支援センター 教授
学位
薬学博士(2008年3月 熊本大学)

ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-8103-651X
J-GLOBAL ID
200901019008762571
Researcher ID
A-3119-2010
researchmap会員ID
5000093995

外部リンク

熊本大学生命資源研究・支援センターで生殖薬学・生殖工学技術の研究をしています。本研究を通じて、産業動物の繁殖効率を向上や不妊症を克服する科学技術の創出、各種培養液・保存液の開発、健康寿命の延伸や難病予防・診断・治療法の開発に有用なバイオリソースの利活用の促進、関連技術に関する専門人材の育成を推進します。

行動指針:”理念を持って現実に向かい、現実の中に理念を問う”


委員歴

  22

主要な論文

  86

MISC

  47

書籍等出版物

  8

講演・口頭発表等

  507

Works(作品等)

  26

共同研究・競争的資金等の研究課題

  34

その他

  9
  • 2021年3月 - 現在
    【ポイント】 慢性腎臓病(CKD)は、末期腎不全へと進展し、最終的には、透析療法や臓器移植に至る病気であり、患者の生活の質(QOL)や医療経済的な観点から、病気の進行を抑える薬が強く求められています。 本研究では、安価で、古くから安全に使用されてきた抗糖尿病薬メトホルミンが、非糖尿病型の慢性腎臓病(ND-CKD)モデルマウス(アルポート症候群モデルマウス)における腎臓病態の進行を抑制することを発見しました。 モデルマウスの詳細な遺伝子発現解析の結果、メトホルミンの作用は、血圧を低下させるとともにタンパク尿を抑制する既存の治療薬であるロサルタンと異なる作用機序により、治療効果を発揮することを見出しました。さらに、両薬剤の適切な併用により、モデルマウスの腎病態および生存期間を有意に延長することが見出されました。 現在、メトホルミンは、乳酸アシドーシスという副作用発現の観点から、重度の腎機能障害患者に対しての投与は禁忌ですが、軽度から中等度の腎機能障害患者には、慎重投与により可能です。本研究により、今後、安全性に考慮することで、有効性や費用対効果に優れたメトホルミンを慢性腎臓病患者に対する(古くて、でも)新しい薬として活用する意義が示されました。 【概要】 熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)、遺伝子機能応用学研究室の甲斐広文教授を中心にした同大学の研究チームは、ワシントン大学医学部セントルイス校、ジョージア州立大学生物医学研究所との共同研究により、抗糖尿病薬メトホルミンが、非糖尿病型の慢性腎臓病(ND-CKD)の病態を模擬するモデルマウスにおいて、腎機能の低下、糸球体障害、炎症・線維化などの病態を改善し、マウスの生存期間を有意に延長することを見出しました。また、メトホルミンの作用機序は、既存の治療薬(対症療法)であるロサルタン(血圧を低下させる薬)とは、異なるものであることも明らかとなり、メトホルミンと既存の治療薬の併用により、効果的な治療が見込める可能性を見出しました。 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓が障害を起こすことで、タンパク尿や腎臓が炎症・線維化し、腎機能の低下が持続している病態の総称で、進行すると患者は透析を余儀なくされ、著しいQOLの低下や、医療経済の圧迫に繋がります。CKDの中でも、糖尿病は危険因子の一つです(糖尿病性腎症)。一方、高血圧、運動不足、喫煙、高尿酸血症などの生活習慣や、腎臓関連遺伝子の変異などとも関連して起こることが知られており、このようなCKDを非糖尿病型の慢性腎臓病(ND-CKD)と分類し、その治療法の開発が求められています。 甲斐教授らは、ND-CKDのモデルとなる難病の一つであるアルポート症候群に着目し、研究を実施しました。アルポート症候群は、遺伝性の腎臓病で、ND-CKDの一つです。現行の治療は、タンパク尿を抑制する目的で、血圧を低下させるとともに(糸球体過剰濾過による)タンパク尿を抑制する薬物であるロサルタンなどによる治療(対症療法)が主流であり、病気を根治する薬は存在しません。したがって、最終的に患者の大半は末期腎不全への移行を余儀なくされます。実際、原因遺伝子が明らかとなっているにもかかわらず、病態進行過程には未だ不明な点が多いことが問題でした。今回、甲斐教授らは、アルポート症候群と同じ遺伝子変異を有するND-CKDモデルマウスの腎臓において、メタボリックシンドローム等で問題となるような「代謝異常」が引き起こされていることを突き止め、既存の糖尿病治療薬メトホルミンがND-CKDの腎臓の病態の進行を食い止めることを見出しました。メトホルミンは、多くの人々に対して使用実績のある安価な治療薬であることから、アルポート症候群患者やND-CKD患者の維持療法に有用である可能性があります。 メトホルミンは、糖尿病の治療薬として頻用されていますが、一時期は、乳酸アシドーシスという副作用発現の観点から、腎機能が低下したCKDの患者への投与は禁忌とされていました。しかし最近は、重度の腎機能障害患者のみが禁忌となり、軽度から中等度の腎機能障害患者には、慎重投与により投与できるようになりました。今回、既存治療薬ロサルタンとの適切な併用により、ND-CKDモデルマウスの腎病態および生存期間を有意に延長することも見出され、今後、安価なメトホルミンが、CKD患者に対する(古くて、でも)新しい薬として、医療経済的な観点からも期待されるものであることが示されました。本研究の成果は、Nature Pressの「Scientific Reports」に令和3年3月29日に公開されました。 本研究は、熊本大学の大槻純男教授、三隅将吾教授、竹尾透教授らや、ワシントン大学医学部セントルイス校、ジョージア州立大学生物医学研究所との共同研究で行われました。また、本研究は、文部科学省科研費 (JP26460098、JP17K08309、JP19H03379、JP16K19642、JP15K09691、JP17H04189、JP19J15443)、the Alport Syndrome Research Funding Program of the Alport Syndrome Foundation (ASF) and the Pedersen family, Kidney Foundation of Canada (KFOC)、JSPS Program for Advancing Strategic International Networks to Accelerate the Circulation of Talented Researchers (S2803)、熊本大学リーディング大学院 HIGOプログラムの支援を受けて行われました。 【論文情報】 論文名:Metformin Ameliorates the Severity of Experimental Alport Syndrome 著者:Kohei Omachi, Shota Kaseda, Tsubasa Yokota, Misato Kamura, Keisuke Teramoto, Jun Kuwazuru, Haruka Kojima, Hirofumi Nohara, Kosuke Koyama, Sumio Ohtsuki, Shogo Misumi, Toru Takeo, Naomi Nakagata, Jian-Dong Li, Tsuyoshi Shuto, Mary Ann Suico, Jeffrey H. Miner and Hirofumi Kai* (*責任著者) 掲載雑誌:Scientific Reports
  • 2021年2月 - 現在
    【ポイント】 ケトン体合成によりミトコンドリアが保護されるメカニズムを解明しました。 新生児期にケトン体合成が活性化される意義を明らかにしました。 【概要】 熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学講座、熊本大学国際先端医学研究機構、熊本大学大学院生命科学研究部附属健康長寿代謝制御研究センターの有馬勇一郎助教、西山功一准教授、辻田賢一教授らは、ケトン体合成不全マウスを作製・解析し、ケトン体合成にミトコンドリアを保護する作用があることを確認しました。 本研究成果は、医学雑誌「Nature Metabolism」にグリニッジ標準時(UTC)時間の令和3年2月18日(木)16:00【日本時間の2月19日(金)1:00】に掲載されました。 なお本研究は、熊本大学生命資源研究・支援センター 資源開発分野の中川佳子研究員、竹尾透教授、熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野の日野信次朗准教授、中尾光善教授ら複数の研究グループとの共同研究です*1。日本学術振興会、日本医療研究開発機構(AMED)など複数の研究助成を受けて行われました*2。 【研究資金等】 *1本研究は熊本大学以外においても以下の研究室に御協力いただきました。 広島大学大学院統合生命科学研究科分子遺伝学研究室 山本卓教授、佐久間哲史准教授(ケトン体合成不全マウスの作製) 東京大学 代謝生理化学分野 栗原裕基教授、礪波一夫助教、北沢悠美子博士(Sirtuin3過剰発現マウスの作製・提供) *2本研究は以下の助成を受けて行われました。 有馬勇一郎:科学研究費補助金(19K08520,17K16014)、日本循環器学会基礎研究助成、公益財団法人住友財団基礎科学研究助成、武田科学振興財団研究助成、かなえ医薬振興財団助成、小野医学研究財団研究奨励助成、日本応用酵素協会 竹尾透:日本医療研究開発機構(AMED)創薬基盤推進研究事業「マウスバンク機能の拡充による創薬イノベーションの迅速化」 辻田賢一:科学研究費補助金(18K08110) 【論文情報】 論文名:Murine neonatal ketogenesis preserves mitochondrial energetics by preventing protein hyperacetylation 著者:Yuichiro Arima*, Yoshiko Nakagawa*, Toru Takeo*, Toshifumi Ishida, Toshihiro Yamada, Shinjiro Hino, Mitsuyoshi Nakao, Sanshiro Hanada, Terumasa Umemoto, Toshio Suda, Tetsushi Sakuma, Takashi Yamamoto, Takehisa Watanabe, Katsuya Nagaoka, Yasuhito Tanaka, Yumiko K Kawamura, Kazuo Tonami, Hiroki Kurihara, Yoshifumi Sato, Kazuya Yamagata, Taishi Nakamura, Satoshi Araki, Eiichiro Yamamoto, Yasuhiro Izumiya, Kenji Sakamoto, Koichi Kaikita, Kenichi Matsushita, Koichi Nishiyama, Naomi Nakagata, and Kenichi Tsujita (*These authors equally contributed to this work.) 掲載雑誌:Nature Metabolism doi:10.1038/s42255-021-00342-6 URL:https://www.nature.com/articles/s42255-021-00342-6
  • 2020年6月
    【ポイント】 ● マイクロ流体デバイスを用いた細胞分取装置を用いて、運動能を維持したまま精子を選別する技術を開発しました。 ● 本技術を用いて、精子全体の中から受精可能な精子(受精能獲得精子)だけを集めることで、体外受精における受精率が向上することを明らかにしました。 ● 本技術を応用することで、実験動物や家畜の効率的な繁殖や不妊治療における体外受精の成功率の向上が期待できます。 【概要説明】 熊本大学生命資源研究・支援センター資源開発分野の中尾聡宏研究員、竹尾透教授、生殖工学共同研究分野の中潟直己特任教授、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の渡邊仁美助教、近藤玄教授は、マイクロ流体デバイスを用いた細胞分取装置を用いて、体外受精における受精率の向上に有用な精子を選別する技術を開発しました。 精子は、射出された直後は受精することができず、生体内や培養液中で活性化することによって、受精する能力を獲得します。この現象は、受精能獲得と呼ばれ、体外受精において高い受精率を得るためには、受精能獲得精子を回収することが必要です。一般的に、特定の細胞を回収するために、細胞分取装置が用いられます。しかしながら、精子は、物理的傷害を受けやすいため、一般的に使用される細胞分取装置では、運動性を維持した精子を回収することが困難とされていました。中尾聡宏研究員らは、マウス精子を用いて種々の細胞分取装置や精子の分離に使用する培養液を検討した結果、マイクロ流体デバイスを用いた細胞分取装置で、精子を選別する最適条件を決定し、運動能を維持したまま精子を分取することに成功しました。さらに、本装置を用いて、蛍光物質で標識した受精能獲得精子を回収することにより、受精率の高い精子を分取し、体外受精に利用できることを明らかにしました。 本技術は、実験動物や家畜の繁殖、生殖医療における不妊治療において、体外受精の成功率を高める技術として応用が期待されます。さらに、精子の性染色体を標識する技術と組み合わせることで、実験動物や家畜等の雌雄の産み分けへの応用も期待できます。 本研究成果は、令和2年6月1日付の英科学誌「Scientific Reports」電子版において公開されました。 本研究は、日本医療研究開発機構( AMED) の創薬基盤推進研究事業「マウスバンク機能の拡充による創薬イノベーションの迅速化」および京都大学ウイルス・再生医科学研究所の再生医学・再生医療の先端融合的共同研究拠点事業の助成を受けて行われました。 【論文情報】 論文名:Successful selection of mouse sperm with high viability and fertility using microfluidics chip cell sorter 著者名:Satohiro Nakao, Toru Takeo, Hitomi Watanabe, Gen Kondoh, Naomi Nakagata 掲載雑誌:Scientific Reports URL:www.nature.com/articles/s41598-020-65931-z 【詳細】 プレスリリース(PDF 273KB)
  • 2020年1月 - 2020年1月
    熊本大学生命資源研究・支援センターの中潟直己教授・竹尾透講師らのグループは、ラット精子の効率的な凍結保存に成功しました。 ラット精子は、他の動物種の精子の2~4倍の大きさであり、pH、浸透圧、温度等の物理的変化によるダメージを受け易いため、凍結保存技術の開発が極めて困難でした。中潟教授らは、できるだけ精子に物理的刺激を与えない新たな凍結方法を考案し、凍結融解精子の運動性を損なわず、効率的に受精卵および産子を作製する技術を確立しました。 精子の凍結保存法は、受精卵の凍結保存法よりも試料の採取方法が容易であり、1匹の雄ラットから多くの細胞を得ることができます(5千万~1億匹)。近年、ゲノム編集技術を用いて、ヒトの病気の治療法の開発に有用な遺伝子改変ラットが次々と作製されており、遺伝子改変ラットの系統の効率的な保存技術が求められています。今回中潟教授らが開発した技術は、遺伝子改変ラットの効率的な保存や利用を促進し、難病に対する治療法の開発を加速させることが期待できます。 本研究成果は、令和2年1月9日付の英科学誌「Scientific Reports」電子版において公開されました。 (論文情報) 論文名:Establishment of sperm cryopreservation and in vitro fertilisation protocols for rats 著者:Naomi Nakagata, Nobuyuki Mikoda, Satohiro Nakao, Ena Nakatsukasa & Toru Takeo 掲載誌:Scientific Reports doi:https://doi.org/10.1038/s41598-019-57090-7 URL:https://www.nature.com/articles/s41598-019-57090-7 (特許出願情報) 発明の名称:ラット精子の凍結方法および該方法で保存したラット精子を用いた体外受精方法 出願番号:特願2019-231190 出願人:国立大学法人 熊本大学 発明者:中潟直己、竹尾透、三小田伸之
  • 2017年12月 - 2017年12月
    熊本大学大学院生命科学研究部 遺伝子機能応用学分野の亀井竣輔 大学院生、首藤剛 准教授らは、肺の難病の原因追求に取り組み、必須微量元素の一つ「亜鉛」の肺細胞への運搬異常が、閉塞性肺疾患の病気の進展に重要であることを世界で初めて明らかにし、その詳細な機序にmRNAの連結異常(mRNAスプライシング異常)が関わることを証明しました。 これまで、亜鉛の肺における重要性は、栄養学的な側面からしか理解されてきませんでしたが、今回の発見は、「亜鉛が、生命の根幹を担うmRNAの連結調節に影響し、肺疾患の発症に関わる」ことを世界で初めて明らかにするものです。本研究の成果は、基礎研究と医療を橋渡しするトランスレーショナル研究の成果を取り扱う、Cell PressグループとLancetグループのオープンアクセス誌「EBioMedicine」で平成29年12月20日に公開されました。 【論文名】 Zinc deficiency via a splice switch in zinc importer ZIP2/SLC39A2 causes cystic fibrosis-associated MUC5AC hypersecretion in airway epithelial cells 【著者】 Shunsuke Kamei1,2, Haruka Fujikawa1,2, Hirofumi Nohara1,2, Keiko Ueno-Shuto3, Kasumi Maruta1, Ryunosuke Nakashima1 , Taisei Kawakami1, Chizuru Matsumoto1, Yuki Sakaguchi1, Tomomi Ono1, Mary Ann Suico1, Richard C. Boucher4, Dieter C. Gruenert5, Toru Takeo6, Naomi Nakagata6, Jian-Dong Li7, Hirofumi Kai1,*, and Tsuyoshi Shuto1,* (*責任著者) 【所属】 1熊本大学大学院生命科学研究部 遺伝子機能応用学分野、2熊本大学博士課程教育リーディングプログラム「グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGO」、3崇城大学薬学部薬理学教室、4米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校、5米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校、6熊本大学動物資源開発研究施設(CARD)、7ジョージア州立大学 【掲載雑誌】 EBioMedicine, 平成29年12月20日に掲載 【DOI】 URL: http://www.ebiomedicine.com/article/S2352-3964(17)30506-6/fulltext
  • 2017年11月 - 2017年11月
    熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野は、遺伝子改変マウスを効率的に作製・保管・供給するための生殖工学技術を開発しており、その技術は世界中の研究機関で利用されています。この度、同研究グループは、マウス精子の受精機能を10日間維持する冷蔵保存技術の開発に成功しました。 本研究成果は、遺伝子改変マウスの国際輸送に応用することが可能であり、 国際共同研究を加速し、医学・生命科学研究の発展に寄与することが期待できます。 本研究成果は、アメリカ合衆国のジャーナル「Biology of Reproduction」にUS時間の11月8日(日本時間11月9日)掲載されました。 ※本技術は現在特許出願中です。 【論文名】 Dimethyl sulfoxide and quercetin prolong the survival, motility, and fertility of cold-stored mouse sperm for 10 days 【著者名と所属】 吉本英高( 熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野) 竹尾 透( 熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野) 中潟直己( 熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野) 【掲載雑誌】 Biology of Reproduction 【研究支援】 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬基盤推進研究事業「マウスバンク機能の拡充による創薬イノベーションの迅速化」の支援を受けて実施したものです。 【DOI】 DOI:10.1093/biolre/iox144 http://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei/20171124
  • 2017年1月 - 2017年1月
    難治性の肺疾患の中でも,慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は,患者数は増加の一途をたどる一方,詳細な病気のメカニズムが不明であるため, 原因究明と根治療法の開発が望まれています.今回,熊本大学大学院生命科学研究部 (薬学系) 遺伝子機能応用学分野の首藤剛准教授,甲斐広文教授らは,ヒトのCOPDの病態を忠実に再現するモデルマウスを国内で初めて作成し,「酸化ストレス」*と「セリンタンパク質分解酵素」*が,COPDの病気の進行に強く関わることを明らかにしました.この成果は,COPDなどの難治性肺疾患に対する新規の薬物療法の開発につながるものと期待されます.本研究の成果は,英国 Nature Publishing Groupの科学雑誌「Scientific Reports」で12月16日 (英国時間午前10:00) に公開されました. COPDは,慢性の咳,痰(たん),階段の上下りの疲れなど日常生活の中での呼吸困難(息切れ等)を特徴とする疾患で,日本人の40歳以上のCOPD患者数は530万人 (推定) にものぼり,また,全世界におけるCOPDによる死者は,現在までに300万人を超えています (世界の死亡順位第3位).一般に,COPDは喫煙型と非喫煙型が存在しますが,多くは喫煙型にあたるため,禁煙が第1選択治療となっています.しかし,禁煙の徹底の難しさから,患者数は増加の一途をたどります.現在,COPD患者には,気管支拡張薬とステロイド剤による治療が行われていますが,これらは,あくまでも対症療法 (症状を抑える治療) であり,根治療法ではありません.したがって,病気のメカニズムに基づいた新しい治療薬の開発が望まれていますが,ヒトの病気の症状を忠実に再現するモデルマウスが存在しないことがボトルネックになっていました. 首藤剛准教授らは,喫煙暴露を必要としないCOPDモデルマウスの作成を,国内において初めて成功し,その症状 (粘液の気管支内への貯留,肺機能の低下,肺気腫,肺の炎症など) が,COPD患者のものと極めて類似性が高いことを明らかにしました.このため喫煙型・非喫煙型に関わらず,全てのCOPDの病気の理解と薬物治療に有益な情報を提供することを可能にしました.また,薬学的および遺伝学的なアプローチを駆使して,「酸化ストレス」を抑制する既存の抗酸化薬N-アセチルシステイン (NAC) と,抗酸化ビタミンであるビタミンC (VC) が,このモデルマウスの症状の進展に関与することを明らかにしました.さらに,「セリンタンパク質分解酵素」を抑制するONO-3403が,高い治療効果を発揮することを明らかにしました. なお,首藤剛准教授らが開発したモデルマウスで活性化されているENaC (上皮型ナトリウムチャネル) という分子は,欧米で極めて頻度の高い遺伝病
  • 2016年4月 - 2016年4月
    ノーベル賞の山中伸弥教授が、地震で被害を受けた熊本大学への支援を要請した。 山中教授は、「熊本大学の研究者が今、研究面でも非常に大きな被害を受けて困っている。そちら(熊本大学)についても、喫緊の課題として支援をお願いした」と述べた。 19日、科学技術予算の拡充を要請するために、ノーベル賞の受賞者が、官邸を訪れた。 この際、京都大学IPS細胞研究所の山中伸弥所長は、熊本地震で、熊本大学の実験動物が生命の危機にさらされていることを伝え、「人的被害の支援が最優先ではあるが、科学の面でも取り返しのつかないことが、今起ころうとしている」と述べ、1日も早い支援を訴えた。 これに対し、安倍首相は、「直ちに対応していきたい」と応じた。 FNNニュース 2016年4月19日 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00322323.html
  • 2016年4月 - 2016年4月
    今回の地震の影響で、がんなどのメカニズムの解明のために遺伝子組み換えマウスを全国の研究機関に提供している熊本大学では、実験装置が壊れるなどして予定どおり提供することができなくなっていて、関係者は「研究の遅れにつながる深刻な事態だ」としています。 今月14日からの一連の地震で、がんなどの病気のメカニズムの解明のために遺伝子を組み換えたマウスを全国の研究機関に提供している、熊本大学生命資源研究・支援センターでは、実験用の設備が壊れるなど大きな被害を受けました。 このためセンターで作っている200種類ほどの遺伝子組み換えマウスのうち、3割程度しか提供できない状態に陥っていて、各研究機関が進める医学研究の遅れにつながる可能性があるとしています。 今後、設備の復旧には2~3か月はかかるということで、熊本大学生命資源研究・支援センターの中潟直己副センター長は「余震の影響で後片づけやマウスを飼育するだけでも大変な状況が続いている。ほかの研究機関に実験装置の貸し出しなどもお願いしているが、医学研究の遅れにもつながるので深刻な事態だ」と話しています。 NHKニュース 2016年4月26日 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160426/k10010499081000.html