共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

無保護カルボン酸の直截的かつ触媒的不斉反応の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K06997
体系的課題番号
JP19K06997
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

カルボン酸およびその誘導体は、生体構成成分や生物活性物質などに認められる薬学研究において不可欠な官能基群であるが、これらの官能基の直截的かつ触媒的な立体選択的分子変換に関する研究は、ほとんど行われていないのが現状でである。その一方で、酸化・還元反応や、保護・脱保護などの工程を限局する高効率的分子変換の需要の高まりにより、無保護カルボン酸の触媒的不斉官能基化は、現代において実現されるべき課題の1つとなりつつある。
そのような背景の下、本申請課題では、独自に開発した「塩化ケイ素試薬によるカルボン酸の活性化」を基軸として、安価なケイ素試薬と再使用可能なホスフィンオキシド触媒を利用した無保護カルボン酸およびその誘導体の触媒的不斉反応の開発を目指した。
初年度(3年中1年目)にあたる令和元年度は、無保護カルボン酸およびその誘導体の活性化について、広範かつ網羅的な検討を実施し、いくつかのカルボン酸誘導体について容易な活性化が可能であることを明らかとした。さらに、キラルなホスフィンオキシド触媒を組み合わせることで最高で87%のエナンチオ選択性を与える新規反応の開発にも成功した。これらは、これまで活性化が困難であったカルボン酸およびその誘導体の直截的な活性化および、その有機合成への応用を示す非常に大きな研究成果である。その他にも、各種カルボン酸に対して種々の求電子剤を作用させることで、高い立体選択性にて1,4付加反応やイミンへの付加反応が円滑に進行することも明らかとし、いくつかの無保護カルボン酸の触媒的不斉反応の端緒を得ることにも成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K06997
ID情報
  • 課題番号 : 19K06997
  • 体系的課題番号 : JP19K06997