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2019年12月

日本人の健康寿命 - Global Burden of Disease と国民生活基礎調査による健康寿命の比較研究

名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 = Annual Report of Institute of Health and Nutrition Nagoya University of Arts and Sciences
  • 下方 浩史
  • ,
  • 宮本 恵子
  • ,
  • 眞田 正世
  • ,
  • 今井 具子
  • ,
  • 瀬崎 彩也子
  • ,
  • 川瀬 文哉
  • ,
  • 白井 禎朗
  • ,
  • 阿部 稚里
  • ,
  • 位田 文香
  • ,
  • 加藤 匠

11
開始ページ
21
終了ページ
28
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
名古屋学芸大学健康・栄養研究所

【目的】健康寿命は、良好な健康状態を維持していると期待できる0 歳からの年数である。本研究では、「国民生活基礎調査」による日本独自の方法によって求められた健康寿命と、Global Burden of Disease Study(GBD)による国際的な方法で求められた健康寿命について、経年的な変化の違いおよび都道府県別の健康寿命の違いを明らかにすることを目的として解析を行った。【方法】厚生労働省「国民生活基礎調査」の大規模調査は3 年に1 度、実施されており、その結果を用いて日本人の健康寿命の算定が行われ公表されている(厚労省健康寿命)。また、都道府県別の健康寿命も公表されている。本研究では、2001年から2016年までの6 回の性別健康寿命データと2016年の都道府県別健康寿命データを用いた。GBD の健康寿命は、GBD 2017のデータベースによる1990年から2017年までの日本の毎年の健康寿命データを用いた(GBD 健康寿命)。厚生労働省から毎年公表されている簡易生命表および完全生命表による1990年から2017年までの平均寿命を用い、平均寿命と健康寿命との差を「不健康な年数」とした。厚労省健康寿命とGBD 健康寿命の年間変化率、平均寿命と健康寿命の差の年間変化率を求め、比較した。厚労省健康寿命とGBD 健康寿命による都道府県別健康寿命については、相関係数で関連の強さの解析を行い、都道府県別の差の検定を行った。解析にはR 3.5.3を用いた【結果】男性の健康寿命年間変化率は厚労省健康寿命では0.180±0.023歳/ 年(p=0.001)、GBD 健康寿命では0.135±0.003歳/ 年(p<0.001)と前者の方がやや大きな値であった。女性では厚労省健康寿命で0.152±0.012歳/ 年(p<0.001)、GBD 健康寿命は0.130±0.006歳/ 年(p<0.001)とやはり年間変化率は厚労省健康寿命の方が大きかった。厚労省健康寿命とGBD 健康寿命の違いは最大1.0歳ほどであり、差はそれほど大きくはなかったが、その推移は異なっていた。特に平均寿命と健康寿命との差である「不健康な年数」は厚労省健康寿命では最近短くなる傾向があるようにみえるが、GBD 健康寿命では「不健康な年数」は一貫して長くなっていた。都道府県別健康寿命では、厚労省健康寿命とGBD 健康寿命との間に相関なく、前者の方が有意に高値であった。【結論】厚労省健康寿命とGBD 健康寿命では経年的な変化や都道府県データで差が認められた。厚労省健康寿命には国内での健康指標としての一定の役割があると思われる。しかし、GBD では長期にわたって、全世界で同じ客観的な方法で健康寿命が推定されており、国際比較などで極めて有用である。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120006824454
URL
http://id.nii.ac.jp/1095/00001416/
ID情報
  • ISSN : 1882-1820
  • CiNii Articles ID : 120006824454

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