本論文では,主成分及びマイナー成分を抽出するための数値的に安定な手法を提案する.提案手法はReyleigh商の最大化及び最小化,主成分とマイナー成分そのものを抽出するためのGram-Schmidtの直交化,数値に安定にするための正規直交化にそれぞれ対応する操作から構成される.主成分及びマイナー成分の近傍において,提案手法の安定性に関する条件を明らかにするために,漸近解析を行った.一方,数値実験により,大域的な収束特性と,主成分及びマイナー成分を安定に抽出できるパラメータの範囲を調べた.数値実験の結果から,解の収束の速さと主成分及びマイナー成分を安定に抽出できるパラメータの範囲の広さの間のトレードオフの関係を示す.加えて,固有値が未知であるような実際の問題に対して,パラメータの選択についての指針を示す.