共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

シグナルコンダクターSpred2によるがんの分子・細胞基盤解明と治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H02988
体系的課題番号
JP21H02988
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

1)がんの増殖・転移・幹細胞性獲得におけるSpred2の役割解明
肝がん細胞株(HepG2, HepG3, HLE)のSpred2をノックダウンすると細胞増殖能はいずれも増加した。最もSpred2発現の多いHepG2細胞からCRISPR-Cas9法でSpred2を消去した細胞を作製し、がん細胞特性を確認した。その結果、がん細胞増殖能・浸潤能は増加し、細胞形態は紡錘形に変化、上皮間葉移行と幹細胞性は増強した。これらの変化は、Spred2の過剰発現で逆転した。Spred2発現は非がん部に比較してがん部で低く(データベース上、および自験例の検討)、Spred2高発現肝がん患者では低発現患者に比べ有意に予後は高かった(データベース解析)。以上より、Spred2は、ERK経路を抑制し、がん細胞のEMTや幹細胞性を負に制御することを明らかにした(現在、論文投稿中)。
2)ヒトがん組織におけるSpred2の発現
275の尿路上皮腫瘍の検討結果から、Spred2 mRNA発現は高異型度非浸潤性乳頭状尿路上皮癌 (HGPUC)で最も高く、上皮内癌 (CIS)と浸潤性尿路上皮癌 (IUC)で低下し、Spred2タンパク発現はHGPUCで高く、CISとIUCではHGPUCに比べて減少していることを見いだした。HGPUCでSpred2膜発現を示すものはSpred2膜陰性のものと比べ、ERK活性化レベルとKi67 indexが有意に低かった。以上より、Spred2は非浸潤性膀胱癌の進展を調節する鍵であるものと考えられた(PLoS One. 2021 Nov 24;16(11):e0254289)。
3)Spred2のがん治療への応用
SPR-domainのみのSpred2に加え、さらなる短鎖Spred2プラスミドを6種類作製した。これらを用いて、全長Spred2との活性比較を行っている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H02988
ID情報
  • 課題番号 : 21H02988
  • 体系的課題番号 : JP21H02988