共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

Formyl peptide receptor阻害の乳癌治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K08571
体系的課題番号
JP18K08571
配分額
(総額)
2,600,000円
(直接経費)
2,000,000円
(間接経費)
600,000円

腫瘍・非腫瘍細胞間には複雑なクロストークが存在し、その結果産生されるサイトカイン・増殖因子は腫瘍の進展に大切な腫瘍微小環境を形成する。我々は以前、非腫瘍細胞により産生されるケモカインMonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)がマウス4T1乳癌細胞の肺転移を促進することを明らかにし、現在MCP-1産生に関わるクロストークの解析ならびに乳癌の進展に関わる新しい分子の同定を行っている。
腫瘍内でのMCP-1産生のひとつのメカニズムとして腫瘍細胞由来の増殖因子GM-CSFがマクロファージを刺激しMCP-1産生を促進することを報告したが、このクロストークの阻害は腫瘍内での全MCP-1産生には大きな影響を及ぼさないことを明らかにした。腫瘍細胞と線維芽細胞間に存在するクロストークなど新たなメカニズムの同定を現在行なっている。
腫瘍内への白血球浸潤のメカニズムとしてはケモカインのみならずClassical chemotactic factorとそのレセプターに関する研究も欠かせない。Formyl peptide receptor (FPR)は細菌由来のペプチドを認識するレセプターとして発見されたが、細胞由来の内因性の物質も認識する。我々は2つのFPR (FPR1と2)が腫瘍進展に果たす役割りを、FPR1欠損、FPR2欠損、FPR1/2欠損という3種類のFPR遺伝子欠損マウスを使用して解析している。その結果、1) FPR2欠損マウスでは4T1細胞の肺転移が抑制されること、2) FPR2欠損マウスでは腫瘍内へのマクロファージの浸潤が減少していること、3) FPR1/2両欠損マウスでは4T1細胞に対する腫瘍免疫が増強しているのではないかという結果が得られた。これらの研究の成果は将来の乳癌治療のターゲットを同定するために不可欠と考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K08571
ID情報
  • 課題番号 : 18K08571
  • 体系的課題番号 : JP18K08571