共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

サイトカインシグナル伝達を基盤にした敗血症時の生体防御機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17590352
体系的課題番号
JP17590352
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

STAT因子を介したサイトカインのシグナル伝達はSOCS因子によって制御される。本研究では、STAT3/4/6を負に制御するSOCS3/5に着目し、これらのトランスジェニックマウスを用いて敗血症の分子基盤を解析した。T細胞特異的なSOCS5トランスジェニックマウス(SOCS5Tg)では、T細胞SOCS5高発現により腹腔内マクロファージの自然免疫応答能が細菌排除に有効なTh1応答にシフトし炎症が全身に波及せず、マウスは敗血症に対し抵抗性を示すことを明らかにした。敗血症時のTh1応答増加による細菌排除能の亢進はCCR8欠損でも生じることも見いだした。また、腹膜炎の局所における炎症反応は、腹腔常在マクロファージに発現するStat3によって負に制御されることを初めて示した。STAT3欠損マクロファージでのFcγR・CR1の発現は低下し、逆にSOCS3欠損マクロファージでの発現は亢進した。蛍光標識大腸菌の取り込みはSTAT3欠損マクロファージで低下し、SOCS3欠損マクロファージで亢進した。これにより、STAT3-SOCS3による食細胞貪食能の調節機構を示した。さらに、食細胞特異的STAT3欠損マウスにおける獲得免疫反応は、抗原提示細胞によるMHCclassII発現の亢進るTh1・Th2サイトカイン産生増加により、いずれも有意に増悪することを見いだした。一方、T細胞特異的なSOCS3トランスジェニックマウス(SOCS3Tg)も敗血症に対し抵抗性を示した。これは、腎臓でのSTAT4活性化・Th1サイトカイン産生が低下し臓器傷害が回避されたことが原因と考えられた。また、SOCS3Tgでの薬剤性肝傷害は有意に悪化した。これは、肝細胞でのSTAT1活性化の増加、STAT3活性化の低下により肝細胞アポトーシスの増加、再生能の低下が原因であった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17590352
ID情報
  • 課題番号 : 17590352
  • 体系的課題番号 : JP17590352