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査読有り
2017年6月

低酸素脳症発症後に嚥下障害を認めた一例

新潟歯学会雑誌
  • 吉原 翠
  • ,
  • 上村 由紀子
  • ,
  • 大口 繭美
  • ,
  • 砂田 悠香子
  • ,
  • 竹内 千華子
  • ,
  • 白石 成
  • ,
  • 辻村 恭憲
  • ,
  • 井上 誠

47
1
開始ページ
33
終了ページ
37
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟歯学会

低酸素脳症発症後に嚥下障害を認めた一例を報告する。症例は69歳女性。2015年11月より右気胸にて当院呼吸器感染症内科に入院した。入院6日目に院内で緊張性気胸を再発し、心肺停止に伴う低酸素脳症を発症した。発症58日目に意識レベルの改善を認め、嚥下機能評価のため当科初診となった。指示理解不良で意識レベルはJCS I-3であり、口腔衛生状態は不良で、残存歯は少ないが義歯使用により咬合支持が得られる状態であった。発声・腹式呼吸は不可だった。顎舌顔面の感覚あるものの、舌運動は不良で、呼吸状態不良につき頬ふくらまし・吸引は不可だった。頸部運動は不良で、反復唾液嚥下テストは0回だった。介入3日目(発症60日目)、嚥下内視鏡検査を実施した。安静時より咽頭に分泌物の貯留あり。とろみ摂取時には、喉頭侵入および咽頭残留があったものの誤嚥は認められなかった。先行期から嚥下咽頭期にわたる機能的嚥下障害と診断し、口腔ケア・間接訓練から介入を開始した。呼吸状態安定時のみ少量の直接訓練を実施した。介入57日目(発症114日目)には、義歯調整を行った後に、嚥下造影検査を実施した。液体・ゆるめのとろみにて声門上まで喉頭侵入し、固形物は喉頭蓋谷及び舌背に残留を認めた。ティースプーン一杯量を摂取した際に、患者は咽頭残留を自覚できた。食事による訓練が可能と判断し、全粥・半固形食とろみ付きの食事を開始した。並行して舌運動訓練を実施し、最終的に全粥・半固形食を3食摂取可能となった。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0385-0153
  • 医中誌Web ID : 2017335279

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