共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

成熟機能細胞の分化転換能(分化可塑性)を利用した新たな組織再生療法の可能性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H04411
体系的課題番号
JP17H04411
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

これまでにわれわれが報告してきた、骨芽細胞株MC3T3-E1 を用いた脊髄損傷の再生実験と同様に、初代培養骨芽細胞を用いても脊髄損傷後の神経再生、下肢運動機能回復などが可能か否かについて検討した。その結果、①マトリゲルと混和したMC3T3-E1 を移植した群、②マトリゲルと混和した初代培養骨芽細胞(マウス大腿骨あるいは頭蓋冠より分離・培養)を移植した群、③マトリゲルのみを注入した群、④切断のみ行ったコントロール群の4群において、①および②の2群で同様のマウス下肢運動のBBB Scaleの改善が認められた。また、脊損後に経時的に組織を採取し、脊髄切断部、切断部頭側、切断部尾側のそれぞれにおける脊髄組織の組織学的検索を詳細に行ったところ、それぞれの細胞移植に関連した組織修復・再生が認められた。また、これらの組織において、神経細胞関連分子を指標として、RNA レベル、タンパク質レベルでその発現につきreal-time PCR、免疫組織化学的手法等を用いて検索し、移植細胞の動向、発現分子の変化、周囲細胞への分化誘導の有無、分化転換の有無について確認したところ、移植細胞周囲での発現分子の変化が認められた。細胞移植群では、1)切断部に移植細胞あるいは周囲より誘導された細胞が密に存在する、2)切断部より尾側で脊髄組織の変性が抑制される、3)移植細胞以外の周囲の細胞にも神経細胞への誘導効果が見られる、という所見が得られた。これらの脊髄損傷に対する再生治療効果を確認することで、骨芽細胞株MC3T3-E1 と同様に初代培養骨芽細胞でも脊髄損傷の再生の可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H04411
ID情報
  • 課題番号 : 17H04411
  • 体系的課題番号 : JP17H04411