2020年4月 - 2023年3月
低栄養・終末期高齢者の食に対する多職種協働と口腔機能管理の在り方
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
近年の超高齢社会では,全身疾患によって低栄養や看取り状態にある高齢者が急増している.そのため,従来とは異なった視点からの口腔や食事に関する支援が多職種連携医療においても重要である.
緩和ケアを受ける終末期では,心身機能の低下が生じ,食事の問題や,口腔乾燥に代表される口腔の問題が生じやすく,QOLに影響を与えると推察される.特に,癌終末期においては、患者のQOLを改善し,より苦痛の少ない終末期を過ごすことを目的とした多職種連携による緩和ケアが効果的であることが知られているが,口腔乾燥など口腔の問題が生じることも多く,緩和ケアに歯科医療従事者が積極的に参画することが近年求められている.そこで本研究では,緩和ケアの対象となった終末期癌患者の口腔環境および口腔機能を明らかにすること,さらにはそのような患者における口腔環境に影響を及ぼす因子を明らかにすることを目的として,横断調査を行った.
その結果,緩和ケア対象癌患者121名の口腔環境は悪化しており,特に軟組織である舌,歯肉・粘膜や,唾液,口腔清掃の項目に問題が認められた.また,咀嚼に重要な臼歯部の咬合支持がない場合も多く,義歯の使用も十分ではなかった。一方で,本研究対象者の,嚥下機能は比較的維持されており,対象者の46%が経口のみでの栄養摂取が可能であり,経管栄養を併用しているものを含めると62%が何らかの形で経口による栄養摂取が可能な状態であった.また,口腔環境の悪化は高年齢,意識レベル悪化,短い予後,低い栄養摂取方法と有意に関連していた.以上のことから,多職種連携医療である緩和ケアにおいては,患者の予後レベルや栄養摂取方法を考慮に入れながら,専門的な歯科介入を行っていくことの重要性が示唆された.また,前年度に継続して,低栄養患者および脳卒中患者における口腔と栄養摂取法に関する調査も一部継続した.
緩和ケアを受ける終末期では,心身機能の低下が生じ,食事の問題や,口腔乾燥に代表される口腔の問題が生じやすく,QOLに影響を与えると推察される.特に,癌終末期においては、患者のQOLを改善し,より苦痛の少ない終末期を過ごすことを目的とした多職種連携による緩和ケアが効果的であることが知られているが,口腔乾燥など口腔の問題が生じることも多く,緩和ケアに歯科医療従事者が積極的に参画することが近年求められている.そこで本研究では,緩和ケアの対象となった終末期癌患者の口腔環境および口腔機能を明らかにすること,さらにはそのような患者における口腔環境に影響を及ぼす因子を明らかにすることを目的として,横断調査を行った.
その結果,緩和ケア対象癌患者121名の口腔環境は悪化しており,特に軟組織である舌,歯肉・粘膜や,唾液,口腔清掃の項目に問題が認められた.また,咀嚼に重要な臼歯部の咬合支持がない場合も多く,義歯の使用も十分ではなかった。一方で,本研究対象者の,嚥下機能は比較的維持されており,対象者の46%が経口のみでの栄養摂取が可能であり,経管栄養を併用しているものを含めると62%が何らかの形で経口による栄養摂取が可能な状態であった.また,口腔環境の悪化は高年齢,意識レベル悪化,短い予後,低い栄養摂取方法と有意に関連していた.以上のことから,多職種連携医療である緩和ケアにおいては,患者の予後レベルや栄養摂取方法を考慮に入れながら,専門的な歯科介入を行っていくことの重要性が示唆された.また,前年度に継続して,低栄養患者および脳卒中患者における口腔と栄養摂取法に関する調査も一部継続した.
- ID情報
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- 課題番号 : 20K10028
- 体系的課題番号 : JP20K10028