共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

農地の法的社会的管理システムの比較研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H00793
体系的課題番号
JP18H00793
配分額
(総額)
11,960,000円
(直接経費)
9,200,000円
(間接経費)
2,760,000円
資金種別
競争的資金

農地管理法制の比較研究の対象としてドイツをとりあげた。従来ドイツの農地政策は、地域に根差した農民経営の存立を確保することに主眼を置いてきた。それを実現するための手段として農林地取引法があり、同法は農林地取引を行政の許可の下に置くことによって、政府が目指す農業構造の改善に矛盾する取引を排除してきた。しかし特に東部ドイツを中心として、大規模な法人経営が数を増し、さらには農外コンツェルンによる農地市場の支配や、農地の直接取得ではない、企業の持分取得による土地の間接取得を通じて農林地取規制を回避するといった状況が出現し、農林地取引法の実効性、正当性が揺らぐ事態となっている。
巨大コンツェルンによる土地取得を通じた農業構造の大変動が、持続可能な農業、農村社会の存立を脅かす懸念が生じている。
2006年の連邦制改革により農林地取引法の立法権限が各州の管轄となったことで、各州が独自の農林地取引法を立法することが想定されたが、現在なお一州だけが独自の法を持つに過ぎない。連邦農林地取引法による規制は、憲法による所有権保障の下での土地市場における取引の自由との関係で、いかに評価されるかという憲法上の複雑な問題を抱えつつ実務が展開されてきた。これにEU法による取引の自由、域内外国人に対する差別の禁止等の論点が付け加わる。このように連邦レベルで積み重ねられてきた複雑で繊細な論点を含む問題領域での立法は容易でないことに加え、農林地取引法の機能不全をどう改善するかという新たな挑戦が突き付けられてもいる。こうした事態に各州は独自の立法に躊躇を示しているという現状がある。しかしその中にあって、シェアディールのような手法で土地を集積する活動をいかに規制するかの問題に立ち向かおうとする州もある。
ドイツの農林地取引法制が以上のような問題を抱えていることを明らかにすることができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H00793
ID情報
  • 課題番号 : 18H00793
  • 体系的課題番号 : JP18H00793

この研究課題の成果一覧

論文

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書籍等出版物

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