2018年3月
クライエントの怒りへの介入とセラピストの責務と倫理
北星論集
- ,
- 巻
- 号
- 55
- 開始ページ
- 37
- 終了ページ
- 56
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
本論では、セッション中にセラピストに対して激しい怒りを爆発させた一女性を事例として提示し、怒りの場面におけるクライエントとセラピストの相互交流を詳細に分析することによって、怒りへの介入ステップが段階づけられたひとつのモデルを構成した。また、クライエントの怒りに触れる際の、セラピストの責務と倫理についても検討した。構成されたモデルは以下である。(ステップ1: 怒りの徴候に注意を喚起し、その気持ちに耳を傾けるつもりであることを伝える。ステップ2: 表出された怒りを受け止めて、メッセージを聞き取る。ステップ3: 怒りのコンテクストを探索する。ステップ4: 怒りの背後にある一次的感情を探索する。ステップ5: セラピストの自己開示によって互いの異質な体験を照らし合い、怒りの心的体験を相互主観的に交叉させる。)