共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

がんの線維化におけるMeflinの機能解析と新規治療法の開発研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03467
体系的課題番号
JP20H03467
配分額
(総額)
17,810,000円
(直接経費)
13,700,000円
(間接経費)
4,110,000円

がんは間質で増殖するがん関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts; CAF)がその進展に影響を与えていることが知られている。CAFにはがんを促進する「がん促進性線維芽細胞」とがんを抑制する「がん抑制性線維芽細胞」の 2 種類があることが示唆されてきた。しかし、どのような分子機構により、これらの機能的な違いが決定されるのかは明らかでなかった。また、大腸がんの進展に影響を及ぼすBMP(bone morphogenetic protein)シグナルがどのように調節されるかについても未解明である。
本研究では、網羅的な遺伝子解析を用いて、大腸がんの CAFに特異的に発現し、かつBMP に関連した遺伝子として、Meflin(別名:ISLR)とGremlin 1 を同定した。われわれはMeflinが、膵がんにおける「がん抑制性 CAF」のマーカーであり、BMP シグナルを増強する役割があることが明らかにしていたが、今回、大腸がん組織中の異なる CAF に発現するMeflinとGremlin 1という分子が、大腸がんの BMP のシグナルを調節することにより、それぞれがんを抑制および促進することを明らかにした。さらに、Gremlin1の機能を抑制、あるいはMeflinの発現を増やすことでBMP シグナルが増強され、大腸がんの増殖が抑えられた。病理組織検体を用いた遺伝子発現解析により、Meflinを多く発現する大腸がん患者は良好な予後を示し、Gremlin 1 を多く発現する大腸がん患者は予後不良を示すことが明らかになった。これらの結果から、「がん促進性 CAF」および「がん抑制性 CAF」には、それぞれGremlin1 およびMeflinが高発現し、CAF の機能的な多様性の本態が両分子の BMPシグナルへの関与の違いによるものである可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03467
ID情報
  • 課題番号 : 20H03467
  • 体系的課題番号 : JP20H03467