共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

老化の防止に挑む運動の理論的基盤の構築とその応用による運動模倣薬の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H04050
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

老化の防止を目指すための運動の理論的基盤の構築と、その応用による運動模倣薬の開発を目的に、先ず運動機能に関わる骨格筋・骨・関節軟骨・脳に対する最も効果的な運動量を運動の種類(有酸素運動・レジスタンス運動)別に検討した。老齢動物は若齢動物と比べて個体差が大きく、また運動の直接的な影響に老化の影響が加わることで、得られる情報がばらつき複雑になる。これらを避けるため、若齢マウスを用いた。マウスに異なる強度の有酸素運動(トレッドミル走行)あるいはレジスタンス運動(ラダートレーニング)を1回または長期間行わせ、各組織での応答を評価した。その結果、骨格筋では、20 m/minの有酸素運動が骨格筋代謝に重要なPGC-1α発現量を最も増加させ、また体重の120%の負荷のレジスタンス運動がタンパク質合成と筋肥大に最も効果があることが明らかとなった。骨では中等度の有酸素運動が骨形成の増加と骨吸収の減少を引き起こし、骨量と強度を増加させることが明らかとなった。関節軟骨では低強度の有酸素運動が細胞外基質タンパク質を増加させ、関節軟骨の合成の効果があることが明らかとなった。脳では中等度の有酸素運動によってBDNFタンパク量が増加した一方で、レジスタンス運動では変化しないことが明らかとなった。以上により、骨格筋・骨・関節軟骨・脳にとって最も好ましい効果をもたらす適度な運動強度を同定した。次に運動の分子機序の全容を明らかにするために、この適度な強度の運動を行わせた後、運動の最たる効果器である骨格筋を対象に、遺伝子発現の変化をRNA-seqで、エピジェネティクスの変化をRRBS法で網羅的に解析した。その結果、遺伝子発現増加・脱メチル化および遺伝子発現抑制・メチル化に関わる2つの分子を同定した。今後は、これらの結果から運動模倣薬のターゲットとなる候補物質を同定し、運動模倣薬の開発実験を行う予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 19H04050

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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