共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2007年

ヒトの骨を透過させて骨組織および骨下の臓器の診断が行える超音波システムの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
17390337
体系的課題番号
JP17390337
配分額
(総額)
10,580,000円
(直接経費)
10,100,000円
(間接経費)
480,000円

ヒトの骨を透過させて診断を行う超音波システムの研究として、以下の研究を行った。
(1)頭蓋骨下の脳表の画像化システムの開発を行った。頭蓋骨を模した2枚重ねのアクリル板の下に脳溝を模した溝を持つ鋼を置く。その上から多方向照射超音波プローブを走査し、アクリル板の座標を記憶する。それによる超音波の照射開始位置と超音波の傾きより、超音波のアクリル板透過時の入射角と屈折角を計算する。この結果を用いて対象物体の正確な画像化を行う。本方法によって屈折によるずれを補正した結果、鋼の溝の深さの平均誤差率を約10%以下かつ溝の幅の平均誤差率を約4%以下の精度で画像化できた。次に、単一のワイドエリア超音波プローブを用いて牛の肩甲骨と生体擬似ファントムの画像化を行った結果、屈折を考慮した画像化が行え、本研究の有効性を確認できた。
(2)超音波を用いた人口骨内の非破壊細胞量評価システムを開発した。本研究では減圧処理を施した後、幹細胞を注入した人工培養骨に超音波プローブを当て取得した超音波波形より細胞量を評価した。電子顕微鏡による細胞量と本方法で得られた値を比較した結果、実用的な精度で細胞量の同定が可能となった。次に、骨を模擬した硬さの異なる硬組織の画像化を試みた。多方向照射プローブを垂直方向に動かし、次に、垂直方向に動かして得られた超音波データに対し、音速と厚みの同時測定法を用いて物体の音速と厚みを計算した。実験の結果、誤差率6.0%以下の精度で物体形状を画像化でき、同時に、硬さも推定できた。
(3)折れた骨の補強のため骨髄中に髄内釘が埋め込まれる整形外科手術サポートシステムとして、本研究では超音波装置を用いた髄内釘横止め穴位置決定システムを開発した。更に、骨への距離が遠い場合に使用可能な円柱ロッドを探触子と対象物体の間に用いて間接的に測定することで、遠隔で物質の厚み測定ができる肉厚測定法を提案した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17390337
ID情報
  • 課題番号 : 17390337
  • 体系的課題番号 : JP17390337