完熟きんかんの機能性関与成分として考えられるβ-クリプトキサンチン(β-CRX)が、完熟きんかんを摂食することでヒトの血清中で上昇しうるかをパイロット的に検討した。また、完熟きんかん摂食によるNK細胞活性や疲労感やQOLとの関連についても副次的に検討した。試験はランダム化非盲検非摂食同時対照比較群間試験とした。20歳以上70歳以下の健常な日本人男女をランダムに3群に分け、それぞれ完熟きんかん非摂食、1日5個あるいは1日10個連続7日間摂食を行った。最終的に8名(非摂食群3名、1日5個群2名、1日10個群3名)を解析対象とした。主要評価項目である血清β-CRX濃度の推移をみると、非摂食群の3名は全期間を通して同程度の値であった。1日10個群の3名は摂食初日から摂食終了翌日まで濃度は増加し、摂食終了4週後には濃度は減少した。1日5個群において、1名は初日から全被験者に比較し、極端に濃度が高く、摂食期間は濃度を維持し、摂食終了4週後には濃度は減少した。残る1名は、1日10個群と同様に摂食期間は漸増し、摂食終了4週後に濃度は減少した。また、副次評価項目の疲労感尺度であるChalder fatigue scaleの総スコアは、1日10個群において非摂食群にくらべ連続7日間摂食後に有意に低下(疲労感尺度が改善)し、摂食開始日からの変化量も低下傾向であった。さらに疲労感に関するVASスコアの摂食開始日からの変化量も連続7日間摂食後に低下傾向であった。